2012年01月21日

樹冠下での光量子フラックス、PARの測定に関する相対的なノイズ、オーバーオールでの分解能

樹冠下での光量子フラックス、PARの測定に関する相対的なノイズ、オーバーオールでの分解能

知ってる人は知ってるんですが、このところ、国内某プロジェクトの一環にて、PARセンサーのイイのを作るぜって話があり、良し乗った、って事で、えらい時間をかけておりました。世界最後発の弊社は、末席ですから、もちろん手弁当です。出来上がったのは「MIJ-14PAR弍型」です。
http://www.environment.co.jp/study/MIJ-14Ver2.1CatalogManual.pdf

今回は、開発に関するお話の一部です。

シンプルな機械ほど、一つの部品が果たす役割が大きく、素材の吟味、試行錯誤による形状決定など、仕込みに時間がかかります。料理と同じなのかなあと想像しますが、僕は料理はしないので、はっきりは言えません。PARセンサーの開発話は、一気に書くと本ができそう(関係する人物たちの個性も含めると尚更。)なので、まずは電気的な部分の、更に、センサーのS/N向上策、その結果が出す計測の分解能に絞ってお話します。

一般的なPARセンサーの光電関係の内部構成は、SiやGaAsPなどフォトダイオード(以下PD)を検出器とし、その出力となる数十nA単位の電流を数百Ωの抵抗器でIV変換し、2000μE受光時に10mV弱の電圧になるように調整されています。

10mVという数値は、PDの特性から制約を受けた経験値で、上限です。なんも考えなかったら、抵抗器をもっと大きなものに変更することで、大きな電圧を得ようと考えますよね?だって、その方が、ロガーに繋いだ時に実際の分解能が上がるから。

でも、それをやってしまうと出力の直線性が得られず、上の方でサチッてしまいます。そこで、経験的に20mV程度までが限界であるわけです。で、安全を見ると10mVにセッティングしようと、作る側はそう思うわけです。

この理由でユーザーフレンドリーな、もしくはフールプルーフを考えたPDベースの光センサーでは、抵抗を内蔵してしまって、ユーザーにその辺を触らせないようにしていたり、ケーブルエンドに抵抗を装着していても、熱収縮チューブなんかで触れないようにしています。あまりフレンドリーでない場合にはモロに電流出力だったりしますので、この場合は繋ぐ抵抗値は気を付けて下さいね。

その制約を受けたセンサーを、よく使われる10〜13bit分解能のデータロガーに接続して使うとどうでしょう。10bit=1024、13bit=8192分解ですから、±20mVスケールに設定すれば、7.8μE、0.97μEの分解能になります。

さて、日中でもとっても暗い樹冠下で、ピークが20μE程度を想定すれば、10bitは使い物にならない。13bitでやっと使える。14bit(0.488μE)は必要だと、そういうことになってしまうのが、計測する前から判明する問題です。ロガーが搭載するADコンバータの性能ではなく、ロガー全体での実効値です。

一方、PDの暗信号を考えると、先の抵抗によるIV変換後の値で、±0.005mV程度が代表的であり、これは±1μEに相当する為、普通のPARセンサーを使う限り、ココが限界となります。実際は±5μEのノイズが乗るセンサーもあります。

結局、抵抗器を用いたIV変換を行う限り、樹冠下でのS/Nが良いPARセンサーを作ることは困難です。なぜかというと、例えばですね、フルスケールで論じると、ノイズが占める割合は±0.005/10=±0.05%という数値になるのですが、樹冠下ではフルスケールがその20/2000つまり、1/100になり、しかし、ノイズは同じ、結局5%ものノイズとという事になります。かつ、先のdigitの問題を考えれば、これまた5%刻みに相当するわけで、樹冠下で20段階評価のデータにしかならない。これでイイというユーザーが居るかと言えば、たまに居ますが、大概そうは判断しません。全天下での計測ならば、何を使ってもこの点は問題はないんです。しかし、そもそも全天下でPARの計測なんて意味がどれほどあるのか?という疑問や意見は、とても同意でき、そんなのは日射計を置いておけばいいんです。PARセンサーを使う前提では、勝負所は樹冠下でしょう。少なくとも解析して考えて、論文書く前提ならば。

今回、PARセンサーに専用設計のオートゼロアンプを搭載する事で、センサーそのもののノイズレベルは±0.01mV = ±0.01μE(製品保証値±0.05μE。ここは供給する電源がクリーンか否かが効きます。電池が最強です。)、出力は2000mV at 2000μEを達成しました。このS/Nであれば、センサーのノイズがデータロガーのそれを上回りますので、ノイズと分解能はロガー依存になります。
つまり、素直に配線した場合、±5Vレンジ、10bitで9.76μE、14bitで0.61μEの分解能まで。しかし、ちょっとした工夫で樹冠下用セッティングと言いますか、そういう事が可能になります。

複数入力を持つロガーに対して、センサーの出力を2分岐し、1方を±5Vレンジへ、1方を±20mVレンジに設定した入力へ接続しますと、前者は先に記載した分解能で、後者は10bitで0.039μE、14bitで0.002μEの分解能を得られ、14bitはオーバースペックとなります。総じて10bitでも十分となります。この場合±20mVレンジ側のデータは、20μEを越えたときにレンジオーバーで計測不能になりますが、そのときのデータは±5Vレンジのログを読めばいいわけです。ロガーのオートレンジが賢く動いてくれれば良いだけのことですが、現実的にはあまり賢いのが無いので、こういう方法もありというお話でした。
詳細は、上でリンクしたpdfの7ページに記載してます。

なんだか、わかりにくいなあと感じられる場合、高級オーディオの考え方と同じでして、音のひずみを少なくしようとすると、単独プリアンプが付いているのが良いなあと言う考え方と同じだと解釈して下さい。今どきはそのほうが解りにくかったりするかなあ。

日本環境計測国産部門担当HK
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2012年01月11日

土壌水分センサーとシロアリ、もしくは土壌水分センサーと水道のネジの規格

久々に役に立つ情報です。特に、このタイトルにピンときてしまう人生を歩んでいる方には。日本に何人居るんだろうって話はともかく。

土壌水分センサーは普通は埋設して使います。つまり、センサーとケーブルは直接土壌に接触しているわけですが、この時、いろいろな生物がそこには居るわけで、計測する人間側にとって問題となるのは、動物がケーブルをかじったり、熱帯ではシロアリがケーブルのみならず、センサー筐体も食べてしまったり、そういう出来事が良く生じます。例えば、デカゴンのEC-5などの土壌水分センサーシリーズで使われているゴム部分やケーブルのシースは好んで食べるようです。

ANTEATEC5.jpg

この状態までに半年未満が目安です。何故ってのは解りませんが、好きな味なのかなあ、よっぽど腹減ってたのかなあ、などと想像します。不思議なことに黒ゴムと黒ケーブルのみが食されて、内部の青、白、赤などのシースは食べないんです。

一番重要な計測結果については、「欠測」つまり、データが取れなかったねえ。でも、これ、しょーがないねえ。というお話に至ります。当然修理できる設計ではないので、写真のようになったセンサーはゴミです。

土壌水分センサーを良く販売する身なので、こういう事に直面する事が多々あるのですが、センサー自体は食べられないのを紹介できるけど、ケーブルが問題って話になります。ここではその対策の一方法を紹介します。

SM300VSANT.jpg

全てはこの写真が語っていますが、Delta-T社のML2x、SM300、SM150のケーブル側にはネジが切られています。このネジ、本当の使い方は、オプションのパイプを接続して、かがみ込まなくても地面に突き刺せるというのが目的です。逆に、その程度なので、滅多に使うことがなく、こんなところに無駄にコストかけやがって、という気分にさせてしまうわけですが、ここから先を読んだ貴方には、別の意味が出てきます。

このネジ、英国規格で3/4 inch BNPという、ココ日本では、わけのわからない規格ですが、なんと水道用蛇口のネジ規格G1/2(立水栓のあれ)とぴったりです。個人的にイギリスやアメリカで買ってきた、格好いいけど安価な、でも漏れる頻度が高く、交換部品も入手しにくい水栓金具達は、何故かことごとく、すんなりと、日本の給水ネジにフィットするなあとは思ってましたが、結局日本の水道は元々英米規格のまねなんだなあと、そして、それが故の偶然で、土壌水分センサーのネジ規格イコール日本の水道のネジ規格という事実に行き着いたわけです。良い塩梅なパイプサイズはVP20です。

写真のエルボ、パイプ、ネジ付きジョイントなどの塩ビ部品類は、その辺のホームセンターで買えてしまいますから、塩ビ用接着剤、コーキング剤、ノコギリ、シールテープを準備すれば、現場で特殊な工具も要らず、かつ安易にセットできます。

現場で加工できるというメリットは、とても重要で、なぜなら、センサー設置の為に穴を掘るわけですが、思いも寄らない堀難さだったりすることがあり、計画通り行かないこともしばしばなんです。なので、急遽予定変更して、設置深さを変更する時など、現場でパイプの長さ調節が出来るのは、とても意味があることなのです。

妙にアクセスが多い情報らしいので、少々記事を追加です。
塩ビパイプ関係の部品は、非常に安価です。写真に載っている部品を全部買っても、接着剤込みで、千円ちょっとです。接着剤は用途を考えると、一生使えるのではないかと思います。一度ホームセンターに行って下さい。どこが安いとか、そういう事を全く考えなくても、その場でお小遣いの範囲で購入可能なはずです。

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2011年11月17日

カスタマーセンター

えらい長い間、ブログをお休みしてました。
死亡説が流れる前に、ショーモナイお話を一席。

いつものようにリンリンリンと電話が鳴る。
「まいど、環境計測。」

「日本環境計測さんのカスタマーセンターはこちらですか?」

んっ???

一瞬間違い電話かと思いつつ、しかし、今、確かに、明らかに、ウチの社名を仰ったよなあ。似た社名の会社がどっかに存在して、それと間違ってるのか?

ととまどいながらも、第一声をやっちまいました。

「はい、こちらカスタマーセンターのKと申します。お問い合わせ下さりありがとうございます・・・・・・。」

こーいうのを一回やってみたかっただけです。

誤解無きように表明します。弊社は零細です。しかも、ドが付く、ド零細です。

なので、これまでも、これからも、ずっとカスタマーセンターは置けません予定です。

でも、やっぱり・・・

次回は「再○館製薬です。」言ってみたくなってきた。


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2009年12月17日

GN-P部品は自分でハンダ付けタイプ

GN-P部品は自分でハンダ付けタイプ

PCBって聞いたことありますか?
Printed Circuit Boardの略称で、つまりプリント基板です。

よく見るのが部品が既に実装された、アノ姿ですね。ってわからんか。
家電品を分解したらお姿を見せてくれる、例のあの緑色した板のことです。

当然ながら電子部品が乗っかってないと、正しく動くもんじゃあないわけなので、PCBのみって状態は、正しい生活を営んでいる庶民という立場からは、ソノ姿を見ることはまずないのです。
今回、無謀にも、あえて、とあるジジョーから、PCBのみっていう状態のブツを発売します。タイトル通り、「自分でハンダ付けタイプ」なんです。
granie01.jpg


しかも、「自分で割りましょうタイプ」でもあります。
granie02.jpg

何故こんな手抜きな事するのかってえとですね。、グラニエセンサーのこれまでと現状及びこれから先どうなっていくのであろうか??というものを謙虚に見つめ直した結果、「グラニエセンサーの清く正しい生き延び方はこうである」という、ある結論に至ったわけなのです。

それは、可能な限り商品化しないという結論です。

だいたいの場合、僕の立場からすれば、性能が良くなった、便利になった、耐久性が上がった、かっこよくなった、安くなった、エトセトラのあれやこれやで、つまり、ポジティブな方向に「仕様」を追い込んでいき、その代わり、これだけのお金頂戴ね。っていう商品を作ったり、組み合わせたりするのが基本のシノギなわけなんですが、注射針と電線と、瞬間接着剤や、アルミパイプと言った材料から製作できてしまうこのセンサーは、小学生の夏休みの工作の課題としても確立できるレベルのシロモノであるわけです。しかし、その一方で、費用対効果は想像を絶しており、このコストで、これだけの研究発表が出来てしまう、というそのメリットたるや、イカに!! と言える物でもあります。

当然、技術に堪能な方々がプロとして製作出来ないわけでは決して無く、海外、国内にそういう手作りが得意な会社が、何社か商品として世に出しているのも現実です。これはこれで正しいのです。

一方で、面倒とは言え、自作できるという特徴は、捨てがたい特徴なわけで、他にこんなにお金のかからないセンサーなんて無いに等しいわけですから、その特徴を活かす道を残すのも、これまた正しいのです。

グラニエ計測システムを確立するには、2つの大きな「面倒なコト」に遭遇します。センサーの製作、電源ボードの製作です。前者は今後もがんばって作ってください。と、言い切ります。
1個作ると、数百円が数万の価値に化けると思えばやる気も湧くってもんです。後者は今回このPCBでクリアになりました。フレキシブル基板を買うのとあまり差が無い価格で、手間は推定1/20になります。

膨大な研究費がないと研究が出来ないって道もあるにはあるし、そういう方向に年々進んできているのも確かなんですが、予算が少なくても、立派な研究、観測が可能という、そういう道も正しいのです。

こういう訳で、僕の勝手な判断ですが、半端な状態でのリリースの方が、多くの方にとって、素敵な未来を迎えられるのではないかと信じるのです。

作り方は?って方は、こちらを参照ください。
http://homepage1.nifty.com/kumabox/granier2.htm

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2009年10月14日

無水ソーダライム (Dry Soda Lime)

無水ソーダライム (Dry Soda Lime)

まず、このタイトルの意味がわかる人はマニアを自覚してよいと思います。

赤外分析計では、当然ながらターゲットとするガスによる赤外線の吸収を検出して、計測を行っているわけです。

その内部にはディテクタ(PbSeが多いですね。)、バンドパスフィルターとか、チョッパーモーターとか、なんやかんやの部品が入っていて、それぞれその役割を果たし続けているわけですが、こういう部品を収納する部分にもCO2やH2Oが存在していると、それはつまり、パス以外の場所で赤外を吸収してしまうということになるので、とても都合が悪いのです。

この主要パーツ格納庫というイメージの部分にはそういったガスを吸収してしまう薬品を常套手段として使います。CO2には無水ソーダライムを、H2Oには過塩素酸マグネシウムというのが一般的です。

数年前、私を含む一部マニアな方々にショックな出来事が起きまして、なんと無水ソーダライムがこの世からなくなってしまったのです。(理由は今もって不明。だけど事実。)

入手が容易なソーダライムと何が違うのかと言えば、無水ソーダライムは含水率4%未満、ソーダライムは20%程度です。
後者と過塩素酸マグネシウムを同じボリュームに存在させますと、その水分でマグネシウムが溶け、分析計内部はてんやわんやになってしまうのです。(だから早めに交換すると言う手もあるにはある)

無水ソーダライムの代わりにアスカライトというCO2吸収剤もあるにはあるんですけど、これが高価すぎる上に、これ自体が溶けてしまうというやっかいな代物。やはり無水ソーダライムが安全なわけです。

ふとしたことから、特注で作ってしまうことに成功しました。薬の特注って人生初めてだったんですけど、そういうのを作れる会社は作れるんですねえ。いとも簡単に。

で、弊社に3キロもの無水ソーダライムが入荷予定です。

僕が使用するのは300g/year程度なので、9割があまりってことになります。

自分で分析計のメンテなんかはできてしまう、マニアの方には販売できます。(逆にそういう自信がない方は買わないほうが無難です。こんなのは)

日本環境計測国産部門担当HK
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2009年10月08日

野外でのクロロフィル蛍光測定法!

野外でのクロロフィル蛍光測定法!

最近、小型クロロフィル蛍光測定器の測定に関するお問い合わせをよく頂きます。
今回は頂いた質問とお客様から伺った対策についてお話させて頂きます。

一番多いのは暗処理の時間と方法です。
サンプルや生育環境により変わってくるので一概には言うのは難しいですよね。
教科書とか文献には15分とか書いてあります!と、よく学生さんから聞きます。
それは定説なのでしょうか?

確かに10分程度暗処理したら充分だとは思うんですけど。
毎回お話させて頂くのは、それであれば試してみてはどうですか!と。
10分、15分、20分と処理した物も較べてみて、一番効果があった処理が、そのサンプルの最適な暗処理なんではと思います。
ご自身で導き出した結果が、真実なのでないでしょうか。

また暗処理の方法についてもご質問頂きます。
Optiscience社の商品やHansatech社の商品にはリーフクリップというアクセサリーが標準装備されております。これは洗濯バサミみたいな形状のクリップのヘッド部分に測定器を密着させて計測します。ただし安いものではありません。

OPTIleafclip.jpg
OPTIのリーフクリップ

EMJleafclip.jpg
EMJのリーフクリップ(とある分光器用に製作した一品削り出のお品。ファイバーを接続する仕様)


アルミ箔で葉全体を覆う方法をお試し頂いたお客様もいたのですが、何故か葉にダメージを与えてしまうそうなんです。
プランター等であれば、人工気象室とかに置いておけれるんですけどね!

次に多いのが、いつ(何時に)測定したらいいのかという質問です。
これも難しい質問です。
先ほどと同じで環境次第で変動すると思われるので、何とお答えしたら良いのか“”
ここでは、お客様から伺ったお話を紹介させて頂きます。
日中、夜間で測定をされたそうです。(暗処理を行った状況下での測定です。)
日中は暗処理をしていてもFv/Fmが低い数値しか検出されないそうです。
色々な原因があるのでしょうが、結果としてそうだとおっしゃられておりました。
これに対して21時頃に計測した数値は期待していた数値に近かったそうです。
樹液流もこの時間になると止まるそうなので、その辺りも関係してるのでしょうか。

強光阻害を研究される方であれば、日中計測する必要があるでしょうし、最大値を計測されたいのであれば、日中は避けた方が良さそうです。
日中だとFo自体にも変化が出てしまうそうです。

正直なところ、何が正解という答えはありません。
色々な条件で処理をして、試されるのも研究の過程だと思いますので、その辺の条件検討も含めて楽しんで実験して頂ければ幸いです。

これについては、ご意見や情報、お待ちいたします。有効と思われる情報は掲載させていただきます。

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2009年07月27日

切削型土壌コアサンプラー

切削型土壌コアサンプラー

熱帯の土壌をサンプリングするんだけども、根がびっしり張って、石も結構ごろごろあって、土壌そのものも固いかなあ?結構ね。つまり、そういう土壌をサンプリングする苦労って、そこん所の事情、解るかね?チミ?
やっては見たんだよ、現地で板金溶接なんかでサンプラーのような形のモノを作ったりしてね。でもねえ。ハンマーでいくら叩いてもラチあかんのよ。入って行かんのよ。そもそも。で、結局現地の人を雇って縦穴掘って、そんで、横からサンプリングするのがベストという回答は最悪あるんだけどねえ。

という、お話です。まあ一般的な流れで行きますと、市販のサンプラーなんかを、「先生、これどうよ?よござんしょ?そこそこ高いけどねえ。仕方がないねえ。えっ、強制付属してくるこの樹脂ハンマーって2万越えるの?でも仕方がないもんねえ。」という、「これしか見つからんので、これ買うしかないね。後は知らんもんね。」仕事一丁上がりっ、という対応になるところなんでしょうけど・・・・余計なことをついつい言ってしまった次第です。「作ってしまいましょう。」

注釈:こうやって、土日が無くなっていく人生を過ごしています。

これが、今回のツクリモノの大きな流れ(演出大アリ)ですが、実のところ今回はボア直径が広範囲(φ50〜100mm)というおまけの条件が付いてますから、その辺で買ってきて終わりという対応はそもそも不可です。

最初に、土壌を切る部分、つまりドリルをどうするかで悩みました。結論は超綱チップが埋め込まれた、コンクリートを切削できるヤツがベストなわけだけど、そんなの単品で作ったらエライ金額になってしまうわけで、普通はSUSの切削品でゴマカシテシマウ部分ですね。今回は、大阪のハウスBMという会社http://www.housebm.com/
が良いの作ってるのを運良く確認。マルチリョーバコアドリルで内径φ63を、ドラゴンリョーバコアドリルで内径φ100を準備できることになりました。こういうのが簡単に買えるってのが、日本のエライ所です。上記品名でリョーバというのは両刃でして、片方の刃が減ったら、反対側の刃を使えるという構造です。そこはね、フーン良いじゃない。という程度なんですが、その構造が故に、このシリーズの最大の特徴が存在します。なんと、ドリル部分だけが筒状に取れます。これは素晴らしい。惚れた。

また、普通の用途では欠かせないけど、土壌サンプラーでは邪魔なセンタードリルも「クズ取りポン」機構のおかげで簡単に外れてしまう。もはや、ほとんど、このドリルは、土壌コアサンプラー専用としか考えられないわけです。

次にハンドルですが、これはあまり悩む事無く、MTB(マウンテンバイク)用のストレートハンドルに決定。近所で買えますし、アルミなので切断も簡単。ママチャリ用の鉄やSUS製を選定しないのは重量からです。

他は買えないので、設計して作って組み立てて出来たのがコレ。
SCS01.jpg

1. ハンドルは若干下向きに「へ」になってますが、これが実は料理で言う隠し味です。この角度があるので、鉛直方向下向きに力を入れつつ回すという作業時に、中心を保持しやすいという機能を持たせています。

2. マルチリョーバコアドリル。
コイツが一番仕事をしています。

3. 100mm延長ロッド
もっと深いところまで行きたい貴方へ。100mm 毎ですが、無限に延長できます。下がオス、上がメスネジになってるわけです。

4. コア抜きプレート
ドリルの刃が筒として外れた後、中の土壌コアを押し出すプレート。

5. ヘックスレンチ。
ハンドルを取り外したい場合の、ネジ回し。

組み立てるとこうなります。
SCS02.jpg

延長ロッドはこう接続します。
SCS03.jpg


リョーバの構造。道具無しでこうなります。
SCS04.jpg

コア抜きプレートはこの様に接続。
SCS05.jpg


ハンドルをバラすと持ち運びに便利。(かもしれない)
SCS06.jpg

結果、こういう具合に土壌コアが採取できました。
SCS07.jpg

穴側も、まあきれい。
SCS08.jpg


コアのボアサイズは、以下の通りに自由に選定できます。
マルチリョーバコアドリル実効内径(±2で表記。土壌ですし。)
φ53、58、63、68、72

ドラゴンリョーバコアドリル実効内径(±2で表記)
φ22、25、28、30、33、38、43、48、53、58、63、68、73、78、83、88、93、98、103、108、113

よく見る土壌コアサンプラーとの相違点は、上記した特徴の他に一つ重要な点があります。本サンプラーは切削型、つまり切り削ります。通常は切るだけです。

この違いを簡単に説明すると、鋸(ノコギリ)とカッターの違いです。前者はおがくずが出ますが後者では出ません。もう少し解説すると、分厚い物体の場合、鋸では問題ないですが、カッターでは刃が食い込むので刃先の摩擦から限界が存在します。

土壌を一気に100mmも掘るわけですから、その違いは明白で、使ってみた時に、力加減が大きく違うわけです。

あとは、熱帯でどういう結果が出るかはまた次回にでも。

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2009年07月13日

バラ線の半田めっき

バラ線の半田めっき

センサーをデータロガーに接続する作業って楽しいもんです。センサーの配線をよじって、ターミナルにネジで締め締めして、ロガーの設定、現地設置とそういう流れになっていく、作業工程一連の入り口です。今回は配線の末端部分のハンダ処理についてのお話です。

通常、というか、よく見かけるバラ線部分の処理ですが、指先でねじって、それでもって、以上終わりっ。ていうのが主流です。まあこれで本来は十分なんですけども、場合によっては、というより、弊社のお客様で多く見られる日焼けしてしまう観測サイトをお持ちの方々の場合、問題が起こる事があります。

機器が置かれた環境や使い方について、かなり荒っぽい現場が多いですから、長期間動作不良を起こさないという目的達成のために、ここで少しだけ手を入れる事をお奨めします。ハンダメッキです。銅線が直に空気に触れていますと、それはもう酸化という現象が生じます。銅の場合緑青が吹くというアノ現象です。で、結局接触不良に至るわけです。

さて、ハンダメッキというのは聞いたことがあると思いますが、要するに銅線にハンダをメッキしてしまうわけです。こうする事で銅線の酸化を防ぎます。ハンダが酸化しないかというと、それはします。しかし、銅ほど早くというわけではないところがみそです。あと、メッキせずに端子台に装着すると細かなバラ線のカスが周囲に落ち、それがよからぬ電気を通して、トラブルを招く事がありますが、これが防げます。

ニッパーとハンダ鏝を使って実施する事も可能ですが、ここではハンダ槽とワイヤーストリッパーを使ってみましょう。特にヘビーユーザーの方はこの2種の道具をそろえた方が、時間の節約になります。

1 ワイヤーストリップ
ワイヤーストリッパーの出番です。写真のようなその辺のホームセンターで売ってる工具を使うと、一瞬で終わる作業です。
handa011.JPG

こんなかんじになります。
handa001.JPG

ヘビーユーザー向けには自動ワイヤーストリッパーというものもあります。これです。
handa008.JPG

これの良いところはシースを写真のようにハンパに残せる設定が出来る事で、
handa009.JPG

この「切れてるけど残ったシース」を指でねじると、きれいに銅線のネジネジが出来てしまいます。で、最後に抜き取りするわけです。
handa010.JPG

2 ハンダメッキ
ハンダ槽の出番です。約350℃に加熱した槽があり、その中にハンダを放り込んでおきますと、ハンダの湯船ができあがります。
handa003.JPG

この辺でフラックスが登場します。液体で臭いがきつい物体です。これをハケでほんの少々、ネジネジ完了した銅線の先に塗ります。
handa002.JPG

ハンダ槽に投入します。メッキをしたい部分、つまりビニール被覆以外をほんの一瞬投入して引き上げます。
handa004.JPG

こんな具合に先が団子になるので
handa005.JPG


ニッパーで切り落とすと、こうなります。
handa006.JPG

最後に端子台に装着してできあがりです。
handa007.JPG

最後に、熱電対の場合、これはどう考えるかで結論が異なります。本当は2種の金属間で生じた微少な起電力を計測するというのが熱電対の真の姿(ペルチェと逆ですね。)なので、そこをハンダメッキなんてして良いのか?という疑問は当然あるわけですが、例えば、あるお客様の場合、ねじっただけで土壌深くに設置してしまい、その後、1ヶ月の間に不良率が50%を越えてしまって、結局何のために深く穴掘って設置したのか解らなくなってしまったことがあります。弊社担当のパラメータではなかったので関係ないと言えば無いんですけど、お気の毒にと言う他ありませんでした。

こういう事が起こるよりも、ハンダメッキでくっつけてしまえ、ってのが正解ではないかと思います。本当は、スポット溶接でくっつけて、そのあと、コーティングする方がよろしいわけですが、それはまた次回にでも。

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2009年06月28日

ランバージャックへの道 パート2

ランバージャックへの道 パート2

前回から引き続きで、本日からは茨城県北茨城市にサイトに移動してきました。
ここは長期生態観察のためにつくられた歴史あるサイトだそうで、開祖みたいな所だそうです。
現・東北大の中静先生を筆頭にして始められた研究を20数年経っても若い研究者が引き続き、この地を利用して計測をされているそうです。
樹木は100年単位で結果が分かる位にスケールの大きな研究だと云われます。
この歴史を絶やさずに円滑に継続させていくお手伝いをするのも我々の役目の一つなのかなあと感じました。

さてここでの計測は木の直径の計測を行いました。
今回私は野帳マンを仰せつかり、巻尺とノギスで読み上げた数値を漏れなく記載する作業でした。まあ心優しいパートナーですこと“”
作業はそう困難ではありませんでしたが、山の強敵アイツが現れました。
蜂です“”スズメバチじゃないとは思うのですが、一歩も動けないですね。
猪とか熊とか山は怖いところです。
海で鮫に会う確率よかよっぽど多いですもんね。

数時間の滞在でしたが、小川は本当に綺麗な場所でした。
清流が流れていて野生のワサビとか三つ葉とかが生えてました。
ここで親子丼食べるのもどうかと思いますけど。
機会があればまた来てみたいと思わせる場所でした。
一人じゃよう行かんですけど“”

TMsinrin04.jpg

TMsinrin05.jpg

余計な話ですが途中で、ペンダントロガーに雨水が溜まっているのを結構みました。
湿度センサーが付いているタイプだと水が溜まるみたいですね。
結露もあるのかもしれませんけど、簡単な対処法は菅原先生みたいに手作業で傘作ってあげたらいいのではないでしょうか。唐笠地蔵みたいなのを
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%94%90%E5%82%98%E5%B0%8F%E5%83%A7


慌しくも楽しいショートトリップでした。
昨今ニュースで、遺伝子組み換えだ、植物工場だと話題に事欠きません。
日本の国土の70%近くは森林だそうです。今回来てみて日本人は恵まれた環境に生きているんだなあと改めて思いました。IKEAとかニトリで安いって喜んで外材の家具買ってる場合ちゃうと思いますよ!
森林が荒廃したら地滑りとか土石流とか自然災害にどう備えるんですかね?

では最後にこれは何て植物でしょうか??
TMsinrin06.jpg
答えはギンリョウソウです。
葉緑体を持たない植物なんだそうです。
今度SPADで計測してみたいです。数値ZEROになるんですかね?
どなたか試されたことある方居たら教えてください。
国内には結構SPAD信者さん居てるんで、これでZEROやなかったらどうするんやろ??

日本環境計測輸入部門担当TM
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2009年06月17日

ランバージャックへの道 パート1

ランバージャックへの道 パート1

お久しぶりです。
東京支社で頑張っておりますTMです。
さて今回はお客様の研究のお手伝いで測定に行ってきました。
場所は福島県いわき市勿来!
http://maps.google.co.jp/maps?utm_source=ja-wh
内容は林内の温湿度、リター厚、リター上部、下部の温度、土壌水分の測定です。
私は放射温度計でリターの温度と水分計で土壌水分測定を担当してきました。
土壌水分センサーは弊社取り扱いのDelta-T社製SM200とHH2の組み合わせを選択しました。多点を移動しながら計測するのは、この組み合わせが最適と判断して準備しました。

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屋外での活動は海では慣れておりますが、山は初めてなので装備の準備からして
大変でした。で、結局落ち着いたのが合羽と長靴にモスキートガードと軍手。
流石に熊除けの鈴は着けませんでした。


作業は7m、12m、15mのプロットがあり、杭で1m間隔にマスキングし、地道で人海戦術のみが有効な作業をスタートさせました。
当日は雨こそ降っておりませんでしたが、林内の湿度は高く通気性のない合羽を着た事に数分で後悔いたしました。サウナスーツより効果ありますよ!!
単調な作業が続く事と山に慣れていないのもあって、方位の感覚が狂い始めるので
声を掛け合いながら進捗させていきました。
初日は不慣れな事もあり予定の半分以下で終了。でもヘトヘトでした。

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夜は勿来駅前の“みちのく”という居酒屋さんでお世話になりました。
早苗さんというママさんの料理も美味かったですよ!
同席した近くの温泉施設の社長さんにお酒奢ってもらいました。

屋外の作業では虫に悩まされるのが一番気になりました。
耳元でずっとブンブンいうてるのは苛々するし、集中力の妨げにもなります。
その回避の為にお借りしたモスキートガードが、逆に作業効率の妨げになるんです。
そこら中にひっかかるので、前に進むのに気を使うのが鬱陶しいんです。
海なら海パン一丁で平気で気楽なもんです。
虫は来ないですがクラゲに刺されたり、たまに魚がぶつかってきたりもします。

なので二日目は頭にタオル巻いて、顔に特製の虫除けスプレーかけて測定しました。
二日目という事もあり、チームプレーにも良いリズムが出てきて、計画を全て終わらすことができました。それでも8時間くらいはかかりました。
パートナーさん曰く素人さんと一緒なので楽な調査にしてくれたそうです“”


屋外では環境制御が出来ない事と、余りにも測定対象が広いので、何を真値とするかの判断基準が難しいです。
簡単な解決策はありえないので、とにかく多点でデータを集めるしかなさそうです。
また測定精度もかなりバラつきが出てしまいます。
根が張っている土壌では空隙が多く、数値が低く見積もられてしまいます。
また礫や腐葉土など不確定要素が入り込む余地が沢山あります。
測定ポイント1点に対し3点は挿入して測定をし、アベレージで求めるのが最良なのではと感じました。

1点目の測定ポイントが終了したので、翌日からのポイントへ移動します。
続きは次号で!!

最近流行の森林療法というのがありますけど、あれも滞在時間ですよね!
2〜3時間の山歩きなら気分爽快で帰れますけど、ずっと居たら逆に鬱になりそうです。山の中の静寂は想像以上に怖いですよ!

日本環境計測輸入部門担当TM
http://www.environment.co.jp/
posted by EMJ-TM at 09:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記