2024年05月28日

ケーブルの断線とその修復方法 防水と引っ張り強度を可能な限り

ケーブルの断線とその修復方法 防水と引っ張り強度を可能な限り

環境の計測、気象計測ではセンサーとデータロガーはいつもーブルで結線されています。
そのケーブルの保守は多くの場合に厄介で、虫や動物、草刈作業、単純にいたずらなどで人間に切られたりします。
本当に「良くある」出来事です。保守で現場に来てみたら無残な状況になっていた。
という出来事です。

短気になって、ケーブル丸ごと交換してしまえという反応をする人もいらっしゃいますけど、
一度有ることは二度ありますし、このトラブルは必ず原因があって、多くの場合コントロールできない原因なので、以後も頻発しますから解決にはなりません。
コルゲートチューブで保護すれば?
という程度のアイデアは直ぐに出てくるのですが、水道用塩ビパイプでも使わない限り防ぎようがありません。

そこで、ケーブルの現場補修の話。
元々のケーブルよりももっと頑丈な補修ができれば、それは合格と思って良いでしょう。
その方法です。

まずは断線したケーブルを接続します。
cable1.JPG
ハンダ付け+熱収縮チューブを使います。
ここでは手持ちの透明な熱収縮チューブを用いていますが、この部分で強度を高めるわけではないので、絶縁できていれば何でも良いです。
重要なのはネジって終わりということは決してせずに、きちんとハンダ付けすることです。
半田ごては現場で電気が無いときは燃焼式などを準備します。
上に見える透明なチューブはどこにでもある軟質塩ビチューブ全体を縦に裂いたものです。
これも準備してください。
太さはケーブルの外形より内径が大きいもの。
長さには注意が必要で、写真では茶、オレンジ、被覆なしの3本のケーブルが見えていますが、
その両側に各3〜5cm程度の全長を準備します。
ハンダ付けした部分全体に塩ビチューブを被せます。
裂いているので簡単です。
cable2.JPG

裂けている部分にチューブ式接着剤の先を押し込みます。
そして注入します。
ここではスーパーXの黒を用いていますが硬化する接着剤であれば何でも良いです。
瞬間接着剤は痩せるのと水に弱いので止めたほうが良いですが、仮留めでは有効です。
cable3.JPG
ここでは被覆なしの電線は絶縁していませんが、接着剤で絶縁できてしまうので問題は無いです。
強度を高めるのはこの部分なので、注入は塩ビチューブの内側を全体に満遍なく充填する気持ちで行います。
溢れても構いません。むしろ多少は溢れる程度が丁度良いです。

そうするとこういう状態になるはずです。
cable4.JPG
チューブは透明でなくても構いませんし、もっと伸びない材質のチューブ、例えばウレタンチューブとかのほうが引っ張りに強くなります。

塩ビチューブの両側に各3〜5cm程度の全長の接着剤入り熱収縮チューブを準備し、
加工した部分を全てその中に差し込みます。
このチューブの内径は先の透明軟質塩ビチューブの外径よりも2mm以上大きいサイズを使います。
ハンダ付けした部分が、接着剤入り熱収縮チューブの中央部分に収まるようにするのが理想的です。
接着剤が硬化していない状態での作業なので、ここは慎重に、透明軟質塩ビチューブがずれないように作業します。
cable5.JPG
つまり接着剤入り熱収縮チューブが透明軟質塩ビチューブに触らないように差し込みます。

位置決めが終わったら、ヒートガンで加熱して収縮させます。
現場で電気が無いときはライターで炙ると良い塩梅です。
中央部分から完全に細くなるまで加熱します。
その後左右に均等に収縮させていきます。
最後は両端からあふれた接着剤が流れてきますが、あわてないでください。
あえてそうしたほうが強固になります。
cable6.JPG
ケーブルの数によって作業時間は変わってきますが、ここでは3本でしたので慣れれば5分程度で完了します。


日本環境計測国産部門担当HK
https://www.environment.co.jp/
posted by EMJ-TM at 09:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2022年04月22日

いまさら温度計?の新規開発

いまさら温度計?の新規開発

2022年初旬。
今回は高精度温度計の新規開発を行いました。俯瞰で見ると、いまさら温度計?という自覚はありつつの開発です。

温度計とは、一次温度計と二次温度計に大別され、ここでお話しするのは後者です。前者は99.999%の人生では見ることが無いほど一般的ではありません。この辺の詳細は省きますが、ここによくまとめられています。
https://home.hiroshima-u.ac.jp/atoda/Thermodynamics/r01g_ondokei.pdf
この辺の温度計は真の絶対値を得る意味で、人類にとても重要な位置づけなので、温度計の世界の神様と解釈して良いです。ところがこのレベルでも技術的革新によって精度がゆっくりと上がってきており、国際温度目盛ITS90という基準も10年に一回程度は改定され続けています。mK(ミリケルビン。1/1000度)の確度の議論ですから、繰り返しになりますが、もう、一般的には本当にどうでもいい話です。

二次温度計はいきなり実用的な温度計(ワーキングスタンダード)になります。人が温度を高精度に計測する必要がある事態に直面したときは二次温度計の中でも白金測温抵抗体を使うことになるでしょう。熱電対、サーミスタというメジャーな温度計もあるのですが、使い手の高精度という単語の解釈次第でどれを使うかが変わってきます。閾値として精度±0.2度は高精度と言って良いです。そうすると基本的には熱電対とサーミスタは除外されます。
この2種類の原理や特性が悪いというわけではなく、その物性が影響して高精度にすることがめんどくさいだけであり、高精度にすることは可能です。手間と費用がかかるのでというだけの事情です。逆に表現するとこの2種は「お手軽に」の範囲で活躍しやすい特性を持っていると言えます。

白金測温抵抗体(Pt100)をどう使うかの話。
そもそもPt100というのは0℃のときに100Ωの抵抗値になるように長さと細さを調整した白金という金属材料がシース(温度計のカバー)の中にシースと絶縁された状態で仕込まれているものです。それゆえPtとは呼ばず、Pt100と呼びます。
その両端には銅線が接続され、それがシースの外に出ているケーブルになります。このケーブルを片側1本片側2本装着したものが三線式、両側各2本が四線式と呼ばれる仕様です。

金属の抵抗値はただの物性値なので、それは素材で決まっており、体積抵抗率という指標で表現され、これは温度によって変化する物性値です。抵抗値との関係は以下の通り、長さと断面積が人間都合で自由に決定できるパラメーターです。

抵抗値(Ω)=体積抵抗率(μΩcm)×長さ(m)/断面積(mm2)×0.01

白金(Pt)が0℃のときの体積抵抗率は9.81(μΩcm)
これをPt100と呼ばれる0℃のとき100Ωの抵抗値を示す長さ1mの物体にするには,

100=9.81*1/X*0.01
X=0.000981(mm2)
半径は0.0177mm=17.7μm

シースの中身はスギ花粉の直径程度の白金線が1m入っているとイメージしていただいてよいです。

白金の抵抗値の温度依存性は直線性を併せ持ちます。その温度係数は+0.39Ω/℃です。三線式、四線式でケーブルの抵抗をネグレクトできるような配線を行い、通常電圧しか計測できないデータロガーに対応させるために、外部にシャント抵抗を装備して、抵抗体の電流による加温を低減させるためにプレヒートを定電流で流すことで、抵抗値の変化を電圧値の変化に変換して電圧データを取得することで計測できるということになります。

ここでPt100のダークサイドを確認します。先人のおかげでこうすればPt100を使った温度測定が高精度に行えるよ!!とまでは課題を解決してくれています。ところがこれを実現するにはめんどくさいことがまあまああります。例えば三線式でモニターする電圧は2ch、四線式では3chとなり、1箇所の温度計測に数チャンネルを消化してしまいます。こういう事情を考えなくても配線できるようにしたデータロガーやpt100専用ロガーもありますけど、それは内部で同じ事をしているだけで、やっていることは同じ、つまりチャンネル食いなんです。専用品は定電流回路も内蔵しているのですが、汎用ロガーにPt100を接続しようとすると、それも外部で準備せねばならず、結局のところそこそこの手間とお金を要することになります。こんな実情なので、温度を高精度に計測したいけど持っているロガーではPt100が使えない、対応するロガーはそれなりに高額。そういうつまらない事情があるので白金を自然科学系で使う方は多くはありません。もちろんセンサー側にそういうめんどくさい仕事を内蔵して、それなりの価格で販売されているPt100センサーもありますからそれを使うことは可能です。

ここで、精度と分解能の話。
みんながよく持っている温度計、これらは多くの場合サーミスタが内蔵されています。例えば23.5度とか表示されているとき、その5は不確定ながらも表示はしている、精度は±0.3〜1度位です。しかしながら5→6に表示が変化したとき、その0.1度上昇したことはほぼ正確に表現しています。分解能が0.1度ではあるが精度はそれよりも劣る、しかし温度が変化したΔTはほぼ正確、というお話になります。同じ温度計を使う限りにおいてではありますが。

ここまでが、「いまさら温度計?の開発」の背景とその理由になります。高精度に温度を計測する手法は先人が解決したが、もっと簡単にローコストで、という視点については思考停止してしまっている。

まとめると
1 高精度の温度計というのは事実上、白金測温抵抗体(Pt100)と考えてよい。
2 Pt100自体の精度は高く、それは常用域である-20〜50℃において0.2度未満が目安。
3 Pt100の構造は単純だが、データロガーで読み取ろうとするととてもめんどくさい。
4 めんどくさいのみならず、支出もそこそこかかる。シャント抵抗も安くは無い。必要となるロガーの入力数もコストの一部。

課題として、2,3,4をクリアすれば、それは良い温度計だと定義できます。

そして完成した温度計がこちら
https://environment.co.jp/nonlinear-temperature-probe-soil
NLTP Highspec.png

NLTP-size-pic.png
代表感度 -0.1939℃/mV
応答速度 t63.2=2.6秒 at Static Water
精度 ±0.05°C (typical at 20〜40°C)
±0.12°C ( -60〜100°C)
測定範囲 -55 to 110°C
消費電力 27.6μW(Overall, Max)

測定範囲はpt100の高温側600度にはとうていかなわないので注意。それ以外は多くの用途で十分な仕様にしています。逆に表現すると測定温度範囲を実用エリアに絞り込むことで、その範囲でならば使いやすさ、精度、価格のバランスを良くできるという方向性で開発したものです。特に精度はPt100の中でもclass AAを超えているのは特筆ものです。

使い方もPt100に比較すると簡単で、外部にシャント抵抗やハーフブリッジといっためんどくさいことも不用です。具体的には以下のように電線3本の接続を行います。

赤/電源2.5〜30VDC
黒COM/電源グランド&シグナルグランド
白/シグナル出力(アナログ520〜1370mV)

3本の電線を電源とデータロガーに接続するだけ。電源の準備がめんどくさい方は2通りの手法が選択できて、1プレヒート機能搭載のロガーならば電源さえ不要。2オプションのNLTP-BTTKITを使えば電池でセンサーを駆動できます。その電池寿命はBTTKITで使っているCR2032で650日の連続供給が可能です。

代表感度-0.1939℃/mVという表記について、この温度計は一般的な感覚ではリニアな出力を持っていると判断できるものです。
我々側ではEq.Bと呼んでいる式がこちら
Temp (℃)
= -0.1939*(mV)+212.81
この式で電圧出力から温度への変換ができます。が、その変換誤差は以下の通り

実用域 最大変換誤差
-20〜50℃ -0.152℃

詳細はこちら
https://environment.co.jp/nltp-error-table

名称はMIJ-NLTPです。

目標である±0.2℃未満は達成していますから目標は達成している。ただし、Pt100のclass Aを超えた程度です。ただし、一般的ではない話しかやってこない弊社の場合はここからまた別のドラマが始まります。リニアなんだけど若干だけリニアではないという解釈を行います。

Pt100の世界でも検定済みと呼ばれるプローブは購入可能で、しかしその検定の幅と言うのはクラスAに該当する証明書まで。そこから先は知らん。もう一歩先の検定書では読取装置を含めての検定で、この場合は±0.05℃保証という内容になります。ここで何をやっているかと言うと、読取装置側に3〜5次式を使った細かな補正を行っています。Ptは基本的に素晴らしい直線性を持っていると言えるんですが、細かなところを見るとそんなこともなくて、完全な直線性を持っているとは言えないんです。

我々側でEq.Aと呼んでいる式がこちら
Temp (℃) =
-0.000000001809628*(mV)^3-0.000003325395*(mV)^2-0.1814103*(mV)+205.5894

もう桁が多くて付き合いきれんという印象の式です。ですが、精度を求める方はめげないでください。演算ができるロガーでしたら一度入力していただくだけですし、mVでログする方は計算シートも母屋に置いてます。

実用域 最大変換誤差
-20〜50℃ -0.004℃

ここまで変換誤差を極小化し、かつ温試験機での検査の結果、真の値からの誤差は以下の数字が得られます。これは変換誤差を含みます。

±0.05°C (typical at 20〜40°C)
±0.12°C ( -60〜100°C)

ユーザーサイドでの認識としては上記の精度を出すためにはEq.Aを使ってください。お願いします!!

用途は、大気、水中、土壌中などどこでも使えるように作っています。欠点は、高温が苦手です。110度まででお願いします。

一番の売りは±0.05度の精度、つまりPt100 classAAを超える精度を確保しつつ、安価での販売を実現しています。98%の方には、「ふーん、こんな価格ね。別に安くはないし。」程度の認識だと思いますが、温度計測に数年以上人生をささげてきた方々であれば驚くほど安価に感じると思います。±0.05度というのは一般的にはシステムとして購入するレベルなので、1点計測で30万円スタートが相場です。(高分解能は安価にいくらでもあります。)

この高精度温度センサーMIJ-NLTPは、日本環境計測株式会社と株式会社シーエス特機の共同開発品です。
共同での開発は最初から最後までとても楽しかったという実感が高く、おかわりしたい気分なので、他の製品もちょくちょく増やしていく予定です。

日本環境計測国産部門担当HK
https://www.environment.co.jp/

posted by EMJ-TM at 17:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年04月20日

MIJ-14PAR Type2/K2の長期ドリフのト例、屋外設置2.4年後3.5年後の例

MIJ-14PAR Type2/K2の長期ドリフのト例、屋外設置2.4年後3.5年後の例

光センサーのうち特に弊社ではPAR (Photosynthetic Active Radiation sensor)に力を入れており、2007年あたりから初期型の量産に入った履歴があります。もちろん植物関連のパラメーターだからという理由です。弊社のPARは初期型から徐々に改良を続け、Type2になってからは、特にアンプレスのK2型は仕様変更もないままに継続生産中のモデルです。出荷数からも累積で1200を超えており、ロングセラーと言って良いと思います。

ロングセラーに結びつく直接的な要因は耐久性じゃないのかなと推測しています。ものを買うとき忘れがちな耐久性の良し悪し。近年は想像を絶するほどモラルの低いごく一部のユーザーのせいで、スペックシートに書けない項目でもあり、現代ではもはや評価基準にさえならないということは悲しいけど言えてしまう現実です。とは言えとっても大事なというかむしろ屋外で使う機材と考えると一番重要な性能の一つです。こういう部分は作り手の善意を入れやすい性能でもある一方で、耐久性を上げるために工夫した部分というのは、外からは見えにくい部分でもあります。

見えない部分だからどうでもいいや、壊れたらまた買ってもらえば良い、そんなことよりも販売価格を下げられるようにコストを下げる努力をするのだよ、という解釈も商売的には正解ではあります。だけどやっぱり日本的な性質を持つ人間が設計するとそういう気持ちには全くなれない部分、完全に拒否したい考え方です。

K2はユーザーにおいても繰り返し購入、継続して使用していただいている方が多くいらっしゃるモデルで、使い慣れた方(プロの方々)からのリクエストとして、2〜3年ごとの再校正の依頼を良く受けています。プロの方々はこの再校正をとても重要視して購入を判定していますから、その期待に答えるべく、迅速に再校正や修理を実施することは弊社では最優先案件として扱っています。

1年でドリフトが発生してしまうような低品質のPARセンサーは弊社では作っていませんから、1年以内でそういうリクエストを受けることはまずありません。再校正という段階で、そのセンサーは少なくとも2年、長くて10年は経過している状況でもあります。

有償という仕事になるにもかかわらず繰り返し依頼を受ける状況というのは、言い換えると包丁の研ぎなおしを継続し、何十年も使ってくれるお客様というイメージで解釈しています。簡単に言うと、うれしい案件。

今回はドリフトの経時変化ってどの程度生じているのかについて、再校正入荷時の値を基にお話します。前提として他社製品のことは話せません。弊社製の光センサーに限定してのお話です。

例1
2018年12月11日 出荷時校正係数 185.259 umol/mV
2021年04月15日 入荷点検時の校正係数 185.245 umol/mV
ドリフト (2.4年間) -0.0075%
ドリフト(1年間) -0.003%

注釈:ドリフトの計算は(185.245-185.259)/185.259*100=-0.0075%という計算式。
1年間の値は出荷時と入荷時の経過日数で1年に相当する値。

例2
2017年12月22日 出荷時校正係数 212.373 umol/mV
2021年04月15日 入荷点検時の校正係数 211.048 umol/mV
ドリフト (3.5年間) -0.624%
ドリフト(1年間) -0.17%

丁度先週入荷した校正依頼品が2個あったので、その値を公開していますが、過去に作業した数多くのセンサーも、破壊による修理という状態ではない場合には同程度のデータになります。例2のセンサーはちょっと大きめかなと思いますが、原因は拡散板の傷で別要因です。

大きな傷も無く、正常な状態での目安は<±0.5% at 5 years程度の範囲です。経験的な推測になりますが、上記の-0.624% at 3.5 yearsの個体はこの後1.5年ノーメンテだとしてもドリフトの変化が無い状態が続きます。なぜならドリフトの要因が内部的要因ではなく、外部的要因の拡散板の表面の傷が原因だからです。瞬間的トラブルだけど、寿命に影響が無いトラブルなので、このままなんです。

傷はどうしても屋外観測の場合はなんやかやの理由で現実としてはついてしまいます。若干の傷であれば例えば3mm程度の線状のへこみなどはよくあるパターンですが、弊社のセンサーの場合は傷の影響を受けにくくするためにあえて大きな拡散板としている(こういうのは傷と拡散板の面積比が影響のサイズです)ので、傷、磨耗などの影響が少ないからです。

ただし、傷の影響は年々大きくなっていくことは無く、ある程度傷ついたら、それはそれで、そのまま使っても再校正さえすれば問題はないです。拡散板の性能寄与分の役割はコサインコレクターでしかなく、傷程度ではコサイン特性は乱れません。こういう特性は拡散板の全体の形状で決まります。

話を戻して、作業に慣れた立場からのお話として、内部の乾燥剤の状態が悪くなければ、再校正する前から、だいたいこんなドリフトの範囲だろうなあという予想が付いています。

校正にやってきたセンサーは、ボトムマウントを外し、内部の乾燥剤の状態を確認します。ここで多くの場合は以下の写真のように、インジケーターがまだオレンジ色を保っている状態です。
IMG_20210415_180301492.jpg
写真は3.5年ものです。外観もそれなりにくたびれています。
IMG_20210415_180506455.jpg
オレンジ→薄いオレンジ→無色に近い→ちょっと青→くすんだ青色に変色していきます。変色が多ければそのセンサーはドリフト以外のトラブルを抱えている可能性が出てきますが、絶対そうかというとそうでもないときも多いです。例えば熱帯雨林に設置しているうセンサーは変色が早めですし、水中に設置しているものも同程度の変色の速度です。

再校正は全分解オーバーホールと同時施工することが多く、その場合は写真のように分解され、洗浄され、再校正という段取りを踏みます。
IMG_20210415_180626383.jpg

この内部確認の段階で水がジャブジャブ出てきたりしたときは、明らかに修理の方向ですし、ユーザーも送る前から「こりゃ修理だな。」とデータから判断して送っている段取りになります。そしてその修理はどこまでも修理できるように設計しています。

ここまでのお話の要点をまとめます。

○ EMJの光センサーは<±0.5% at 5 yearsの範囲でドリフトする。ただし、それが延々と大きくなっていくものではなく、その程度で安定してしまう。
○ もしドリフトが1%を超える状況であれば、それはドリフトではなく故障なので修理する。
○ EMJの光センサーはどこまでも修理可能なので、見た目で腐っていても捨てずに送れ。もっと言うと、拾ったとかもらったEMJの光センサーがあればメーカーで修理してお得に使え。

光センサーの歴史は古く、こういう経年劣化の話は論文でも良く見かけますが、多分ウチのセンサーのドリフトは桁違いに小さいほうだと認識しています。特にPARセンサーではなおさらで、1年で寿命を言い切っているケースも見ますしね。

日本環境計測国産部門担当HK
https://www.environment.co.jp/
posted by EMJ-TM at 17:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年03月24日

電気式デンドロメーターから得られたデータの解析

電気式デンドロメーターから得られたデータの解析

従来のメジャーを使った目視法では半年や1年に数回の目視確認で得たデータは多くて数個/年程度のデータです。だから少なくとも数年の観察をおこなってようやく解析ができることになります。成長が早かった時期や停滞しているのはいつごろだったのだろうとかを知ることはできず、解析というよりも記録という方向性になります。

一方で、電気式の場合は10分に1回とかのユーザー任意の間隔でデータが蓄積していきますから、例えば1年間、10分インターバルだと52560データ数/年を得ることができますから、それこそ解析に値する作業になります。そもそも植物個体1本に対してこれだけのデータを得られるパラメータは珍しい方です。

今回は1例として、木1本の炭素固定(Carbon Uptake)を計算してみます。

炭素固定の話は二酸化炭素フラックス(CO2 やメタンのFlux)の計測、渦相関法、オープンパス、クローズドパス法と言った音の響きが小難しそうな単語が使われる分野で、膨大な費用と労力を要求されますし、それはチームを組んで管理し、人生の一部の時間を消費したなと実感するくらいに大掛かりな仕事になります。得られる効果は大きく、機材を設置した一帯(例えば海洋表面とか森林とか田畑とか)の代表的なCO2 Fluxを定量化できる素晴らしさがあります。ただし、一帯の収支(そこがCO2を吸収したのか発生したのか)が定量化できたという結果を得られますが、それが何故そうなったのかという部分が解明とか研究と呼ばれている現象の本質の追求になってきます。だからこそ土壌呼吸をピンポイントで計測したり、樹液流速を多点で計測したり、葉の光合成速度を計測したり、樹皮の呼吸、根の呼吸、たまには蟻の呼吸と言った細かいところまで、フラックスタワー近辺でのFlux以外のパラメーターの計測(SinkとSourceもしくはそれぞれの速度の探求)をがんばっている人々がいるのです。言い換えると、気温の計測を行ったらそれはその変化を確認できるだけであって、変化の原因までは解らないというのと同じです。

面白いことに、本質の追求をがんばればがんばるほど、その努力というのは当事者以外の専門外の人からは理解され難くなります。この肌の感覚とか他者の視線というのは、新しいことを実行してみたことがある人は必ず経験する感性です。がんばった分だけ褒めて欲しいのに、なんで?という経験です。

話を戻して、ここではシラカシ1本の炭素固定に限定した計算例を示します。もちろんスケーリングして森全体ではどうだろうとかの計算も可能な話でもありますけど、ここでの計測対象は弊社の庭木なのでスケーリングまではしません。

幹のサイズと高さからその体積を計算し、各種係数を用いて演算します。

使用機材 MIJ-02 TypeII 幹周用ロータリー
MIJ-12 防水ロガー
対象 シラカシ
樹高 5mくらい
計測開始時の幹周 365846 um(マイクロメートル)、胸高にて計測
★容積密度 620(kg/m3)
★炭素含有率 50%
★拡大係数 1.23

★はこちらから引用しています。
https://www.ffpri.affrc.go.jp/research/dept/22climate/kyuushuuryou/documents/page1-2-per-a-tree.pdf
樹種、実測値から得られた貴重な係数です。ここでは根は無視して地上部分のみを評価対象とします。

装着の様子は
MIJ02-Dendrometer.png

デンドロの計測値1年分はこういうグラフになります。
Circumference(um)One Year.png
縦軸は幹周um、横軸は日時。

1年間の計測値というのは植物の種類に関係なく共通した特長として、成長しているときと停滞しているときに2分されます。春と夏が成長期でそれ以外は停滞します。福岡県福岡市のピンポイントでは5月中旬から8月後半あたりまでが該当することがわかりますね。

まさにフェノロジーのデータでもあり、LAI(Leaf Area Index)との相関も出るグラフの形です。落葉樹の場合は葉が仕事してないけど落葉まではしていないというタイムラグはあるでしょうか。

熱帯地域では年中成長しっぱなしなのですけど、日本を含めた中緯度ではこういうイメージで合ってます。
ここまで見ていただいただいて解ることは、メジャー目視式を使っている人向けの情報として、目視するタイミングは停滞期のほうが良く、秋以降〜春までに確認と言えます。夏よりは人にやさしいかな。

計測データと計算結果を掲載します。計算式はカラムに残しています。確認可能です。
Rotary type2 Seasonal Change.xlsx
成長期96日の期間
幹周の成長速度 267.1um/day
炭素固定の速度 36.1g/day

高さ5m程度、直径10cmくらいのシラカシは、1日36gの炭素(C)を固定できているという結果。日本では1人が年間9トンのCO2を排出しているらしいので、
9×1000*1000/365=1027g/day。
C/CO2=12/44
1027*12/44=280g/dayの炭素
36.1/280=12%

「成長期の普通サイズのシラカシ1本の地上部分の炭素固定速度は36g/dayであり、人間が1日に消費して出てくる炭素放出速度の12%を吸収している。」

言い換えると

「成長期の普通サイズのシラカシ9本は、人間が1日に消費して放出しているCO2を全部吸収している。ただし成長期は約100日間だけなので、バランスを取りたいならば30本/人は確保してね。」

と言えます。これは少ないのか多いのかなどの感想は置いといて、現実はこうだよという話です。

固定された炭素は永遠に固定されるはずも無く、ほっとくと死んで分解されて放出されますから、有効的に利用しなければならないねというドラマも続きます。

例えばこれが森林の中の1本の木だとすれば、森林を形成する樹木の数だけ掛け算すれば森林全体の炭素固定速度が計算でき、1年間の炭素固定量も計算できます。どのようなパラメーターでもいえることですが、全ての植生の計測を行うことは現実的ではないので、こういうスケーリングという掛け算によって算出することになります。もとろん統計的に有効なサンプル数を確保すべきなので、一つの森林に対して1本だけの計測値を元に算出するのは異議が出ます。有効サンプリング数と地形的な分布は考慮しなければなりません。めんどくさいですね。ただこういうことを計算すべく努力している人々は少ないけど確かに居るんです。身近には居ない希少種ですけど。

次に参考までに日変化を見てみましょう。
Circumference(um) Days.png
同じデータで横軸を短く取ったときのグラフです。解ることは

1 幹は毎日周期的に収縮を繰り返している。
2 その振幅は幹周として100umくらい。
3 縮小するのは日中の蒸散する時間帯
4 膨張するのは蒸散が終わったあとから次の日の蒸散開始まで
5 3は4に比べて速度が速い(傾きが急)

日変化は総じて、水の吸収と放出の結果を見ていることになりますから、蒸散速度(光合成速度)、水ポテンシャル、含水率との相関を研究したいときに用いるグラフになります。注意したいのは、成長期の成長速度の傾き、ここでは先の96日で得られた幹周の成長速度267.1um/dayを移動平均で差し引いた1日あたりの水起源の正味の伸縮(ロングタームの炭素固定の影響を差し引いた分)を有効とするべきです。

このようにデンドロメーターを使った植物の計測は、
1 長期間の計測では、1年周期の値は炭素固定や成長速度、成長期、停滞期の解析に使えるデータを得られる。
2 日変化分は水が植物に関与する影響を解析するデータを得られる。

と2つの解析が可能になります。

特徴的なのは、他のパラメーターの計測に比較して、電気をあまり食わずにオートマチックで得られるという部分です。この特徴の活かし方として植物が健康か否かの判定にも使えます。例えば1年目のデータと2年目のデータを比較すれば去年と比較して成長が遅い早いの評価ができますから、天然記念物の指定を受けた樹木や、もっと身近な街路樹などに装着しておけば、何か異変があったときのアラート、土壌改良などの効果の確認、ひいては真剣に取り組むと案外難しいと言われている死活管理さえも可能になります。死んでいたら年変位も日変化もしません。むしろ材木と呼んだほうが良い状態になり、材木は実は温度変化による変位がとても小さく(温度特性が小さい)、10-7/℃の桁だと言われています。ピカス、レジストグラフ、インパルスハンマーといった樹木診断の装置は、扱いがめんどくさかったり、高額だったり、破壊的だったりしますから、そもそも経時変化や履歴を見る手法としては適してなくて、今現在の状態を知るための装置です。

日変化を見ることでも同様に評価可能です。草本であればここで使った幹周用のロータリーではなく、LMSやLMMを使えばφ1.5mmサイズからの評価が可能になります。

ここまでの解析や計算でも植物の評価や研究に効果的なのは解ってます。しかし、もう少し貪欲になっても良いかなとも思えます。弊社にとっての今後の課題は、根用のデンドロメーターを開発する必要があると判断しています。幹だけで得られたデータは吸水と蒸散が同時なのか、異なる周期なのかの判別ができていません。水は多くの場合、土壌→根→幹→枝→葉という経路をたどります。(一部樹種では逆もあります。)

この辺の解明は蒸散速度(サップフロー)や水ポテンシャルの計測によって一部の研究者が展開していますけど、問題は手間がかかったり、うまく行かないことが多かったりする測定原理なところです。

人が増える要素も無く、予算を増やす気も無いどころか減らしたがっている今の日本ではかなり困難なお話に行き着くのは解ってはいますが、可能な範囲での解決案を今後も提案していきます。

日本環境計測国産部門担当HK
https://www.environment.co.jp/
posted by EMJ-TM at 14:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年03月12日

MIJ-02 Rotary Type3 Dendrometer 発売開始2021.03

MIJ-02 Rotary Type3 Dendrometer 発売開始2021.03

正体や原因が何にせよ、コロナ禍のせいでこうなったという話題が多い過去1年でした。一方で、コロナ禍のおかげでということも少々ありましたね。仕事とは関係ない個人的な部分で。時間のゆとりができる反面、心配事は増える、ところが心配しても仕方が無い漠然としたネタが多いというアンバランスな方向性だったかなと思います。修行が足らんな。

暇つぶしに学べたこともあり、MMTは面白かった。経済のカラクリやインチキ、欠陥も理解できるし、嘘を鵜呑みにしてきた反省もできました。エンジニアとしては全く考えてこなかったテーマだったけど、専門外って大事だなと思いました。

海外旅行に行けていた数年前の範囲でも、日本とそれ以外の国の雰囲気、文化の違いとかじゃなくって、「活気」の違いは大きく感じることばっかりで、帰国したその日は特に、活気が無いなこの国は、という気分にさせられていた理由は、経済成長率の違いだったようです。規模と言う絶対値よりもむしろ成長率のほうが重要で、言い換えると今日より明日のほうが良いと思っている人の割合が多い街単位での集合体の雰囲気です。

強引に本題に入ります。
デンドロメーターという機械は経済成長率の計測はできませんが、植物の成長率は計測できる装置です。

2016年終わりごろから4年間Type2を製造販売してきましたが、2021年3月Type3を発売開始します。Type2のユーザーから頂いてきた声を反映しています。例を記すと

1 ワイヤーの通し穴が小さい
2 締結ねじが小さいし、ネジを回しにくい場所にある
3 締結した後ワイヤーを再設定しようとしたらワイヤーの締結した部分がつぶれて曲がっている
4 初期テンションの掛け具合がよく解らない
5 固定に使うネジ2本で幹や樹皮を痛めたくない#
6 ワイヤー2mって多くの場合長すぎ
7 ケーブル5mって多くの場合長すぎ
8 設置から1年後以上経過したとき、データを確認しないとワイヤーのリセットを行うべきかどうかの判断ができない
9 長期設置後、幹の成長、肥大によってプーリーに干渉する#

もう少しあったような気がしますが忘れました。そりゃそうだろうという指摘もあるにはありますけど、改良できる部分はそうするべきです。

そこで、少なくとも上記の問題を解決したのがType3です。特に#は手ごわかった。
上記問題番号に対する対策

1 ワイヤーの通し穴が小さい
2 締結ねじが小さいし、ネジを回しにくい場所にある
3 締結した後ワイヤーを再設定しようとしたらワイヤーの締結した部分がつぶれて曲がっている
MIJ02T3FixWire1.jpg
MIJ02T3FixWire2.jpg
ワイヤー締結ネジを一般的なプラスネジ。
そもそもワイヤーを穴に通さなくても良い設計。
ネジ外周のワイヤーが90度巻かれる部分が0.5mm下がっており、ネジを目いっぱい締めこんでもワイヤーがつぶれない、しかし、締結は確実に行える設計。

4 初期テンションの掛け具合がよく解らない
MIJ02T3Slide1.jpgMIJ02T3Slide2.jpg
6角ボルト*2本を緩めるとポテンショとプーリーが30度動かせます。ボルトの相手のナットも動きます。
この30度でバネの初期テンションを与えるので、誰が設置しても同じテンションを掛けられます。
また、Type2と違いテンションを30度分かけても計測レンジが消費されません。

5 固定に使うネジ2本で幹や樹皮を痛めたくない#
MIJ02T3Belts.jpg
非破壊装着キットと呼んでいる2本のバネ付きベルト(オプション)を使えば対応可能。
本稿1番下の写真右がそれ、左は従来どおりにネジ2本で固定した様子。

6 ワイヤー2mって多くの場合長すぎ
ワイヤーの標準長さを1mに変更。
足したい長さだけ指定可能。

7 ケーブル5mって多くの場合長すぎ
コネクタ付きケーブル2mを標準に変更。
足したい長さだけ指定可能。

8 設置から1年後以上経過したとき、データを確認しないとワイヤーのリセットを行うべきかどうかの判断ができない
MIJ02T3Dot.jpg
プーリーに白丸ドットを刻印しました。
赤いケーブルとドットが鉛直方向に一致したときが計測の限界を示す。
ワイヤーのリセットのタイミングを計画できる。


9 長期設置後、幹の成長、肥大によってプーリーに干渉する#
MIJ02T3Arm1.jpgMIJ02T3Arm2.jpg
これはプーリーと幹の間に何かを設置する方向で対応しました。
アームと呼んでいるワイヤーロックや固定用ネジの穴が開いた部品を指します。
ネジ固定の場合、幹の成長をアームが部分的に邪魔するのでプーリーには幹が干渉できません。
非破壊装着キットを使う場合は、幹の成長に応じて必要な分だけデンドロ本体が半径外側方向に移動するためそもそもプーリーには干渉できません。

Dendrometer-MIJ02T3.jpg

https://environment.co.jp/dendrometer-circumference-mij02-type3

日本環境計測国産部門担当HK
https://www.environment.co.jp/
posted by EMJ-TM at 17:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年02月05日

土壌の水ポテンシャルセンサー(アナログ出力の場合)

土壌の水ポテンシャルセンサー(アナログ出力の場合)

厄介なんです。水ポテンシャルって。
植物側の水の移動の駆動力って水ポテンシャルという値なんですが、その測定というのは実に厄介です。植物体は役割から、もしくは概観からの判断で分けると葉、枝、幹、根の4箇所もしくは枝+幹を1つと考えて3箇所に分割できます。全ての水ポテンシャルを計測できるのはサイクロメーター法による基本的には破壊&サンプリングによる計測、たまに非破壊で計測できる工夫をしたサイクロメーターがあります。破壊型は文字通りサンプルを破壊するので、あまり好まれないが仕方が無く使われることが多く、ただし、葉は沢山あるからいいじゃないということも言えるので、そのときはプレッシャーチャンバー法による計測を行ったりします。

非破壊のサイクロメーターは仕様に少し無理があって、うまく計測できるときはありますが、出来ないことも多い。この辺は経験者は良くわかっていただいていると思います。

植物の研究がメインの人でも、その環境要因の一つ、土壌水分は度々計測します。根に直接接触してますからね。このとき、本当は土壌の水ポテンシャルを計測したいのだけれどもメンテナンスが厄介だったり、計測レンジが狭かったり、メンテ不用で計測できる原理があってもそれでさえも、校正に手間がかかったり、価格が高かったり、ロガーと抱き合わせで販売したいメーカーの意向からデジタル出力だったりするので、汎用性が問題だったりします。そこで堆積含水率(VWC)の計測で我慢しておこうという意味で、土壌水分センサーと言えば体積含水率センサーのことを指すほど、世に出回っているというのが現代の状況です。

いまさらという単語が当てはまる手法として、石膏ブロック式の水ポテンシャルセンサーというのはまだ販売中です。石膏ブロックに水が浸透し、その水の濃度(水ポテンシャル)に応じて抵抗値が変化し、その抵抗値は水ポテンシャルにリニアな相関がある。という単純明快な原理を使ったこの方式の欠点は、温度依存性が高いということです。同じ水ポテンシャルの状態であっても温度が変化すると出力の見た目が温度計のように動いてしまうというやつです。

対策としては別途温度を計測し、その温度の値で水ポテンシャルセンサーの値に補正をかけるというのが一般的です。

いまさらのセンサーとしてWATERMARK社(米国)の紹介です。

WATERMARK 200SS-15
200SS.jpg
-15はケーブルの長さを示し、この場合は15インチ=4.5m程度という意味。

WATERMARK 200SS-VA
200SS-VA.jpg
抵抗値変化を電圧出力に変換するモジュール

WATERMARK 200TS Temp Sensor
200TS.jpg
温度計測を行うサーミスタ(係数が専用品)温度補正を行うための温度計であって、温度の計測が出来るというものではない。

このメーカーはユーザーの使いやすさとかをあんまり考えてないなあと思えるブツたちなのですが、
計測(観測)の実績も長年あるし、価格が高いわけでもない(水ポテンシャルセンサーとしてみたとき)とも思えるし、雑な作りだとは思うんですけど結構タフな作りとも解釈できるかな?という、このマーケットでも少し異質な感じがしつつも・・・という不思議な、しかし相変わらず昔のままの姿で製造を継続されてしまっているというところ。

写真を見て解るようにケーブルぶった切りのまんまで入荷しますから、接続を行うのはユーザーがやってね、という仕様です。

弊社でも長らくこの組み合わせで販売してきたのですけど、積極的になれない理由が、この組み立てをユーザーに、という部分でした。ところがついさっきなのですけど、メイドくさいけど組み立てをウチでやればいいじゃない、と思いついてしまったので、パッケージとして販売することにしました。

EMJ200SS
EMJ200SS1.jpg
温度補正した値がそのまま出力されるよ仕様

EMJ200SS2.jpg

EMJ200SS3.jpg

悲しいけど、どうやっても、どこまでも不恰好なセンサーですねえ。
普通に組み立てると石膏ブロックのケーブルと温度保証のケーブルが混在して、もっとマニアックな状態になりますが、ここではメッシュチューブを使うことでケーブルを1本になんとなく見せているというところがキモです。
現場ではこういう小技が使いやすさと堅牢性に効くのは確かです。

日本環境計測国産部門担当HK
https://www.environment.co.jp/
posted by EMJ-TM at 17:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2021年02月03日

牛方コンパスを汎用カメラ用三脚に固定する部品を市販化

牛方コンパスを汎用カメラ用三脚に固定する部品を市販化
しました。

この部品は妙に問い合わせが多く、それなりの数の方々に必要なことがわかりましたので、市販化しました。
2008年04月04日になんとなく情報公開した記事がこちら
http://emj.sblo.jp/article/13564690.html

製造方法は従来どおりで変更はなく、品質は弊社スタンダードに適合。
旋盤切削、黒アルマイト、材料はAl6061-T6。
三脚で使われている一般的なネジに対応したネジ穴が下部中央に
三脚の回り止め用のバカ穴も装備
オスネジは牛方コンパスのメスネジに対応
手回し部分のアヤメローレット加工
外径50mmで一般サイズの三脚のマウンター相手では違和感が無いサイズ
全高20mm、ローレット部肉厚10mm

USHI01.jpg

USHI02.jpg

1個あたり税込み6000円(レターパック送料込)
在庫はそこそこあります。

日本環境計測国産部門担当HK
http://www.environment.co.jp/

posted by EMJ-TM at 14:54| Comment(7) | TrackBack(0) | 日記

2020年12月28日

土壌呼吸チャンバー

土壌呼吸チャンバー
(持ち運び用の設計)

2020年も終わりかけ。1999年創業のEMJはなんと21年が経過しましたが、振り返って今年は一番世間が混乱した時だったかなあと思います。ある意味従来とは違った進化を遂げた部分もあり、これまでの社会の欠陥か弱点を認識できたときでもあり、評価は見方によるけども、いずれにせよ皆様心が忙しかったと思います。

そういうときにdocomoの値下げ強要、みなさん旅行へ行ってね、買い物袋の有償化、という政府の誘導。何故今それをがんばる?と多くの人は思っています。とは言え値下げは単純にうれしいねと思ったらそれは間違いじゃないのかな。増税の財源を政府がdocomoから奪ったわけで、またなにかの税金が増える準備でしょう。5000円ほど安くなったみたいなので、5000円/月に相当する新しい税金が課される未来の下準備完了。2019年までの個人をターゲットにした増税ラッシュを経験したので、どこか投げやりな気持ちも含め、次回は建前上なんという名の税金(罰金)なのかなあ、ちょっと楽しみ。

土壌呼吸チャンバーというのはgoogleで検索すると4万件ほどがヒットします。決してメジャーと言うものじゃないけど、それなりに自然科学では取り組まれてきている物体。土壌表面からどの程度の速度でCO2が発生、放散されているかを調べる道具です。様々な会社から出ているようなものでもなくて、研究者自作だったり、EMJのような特注が得意な会社に依頼が来るか、そういうシロモノです。

注意するポイントは、密閉できること。内部攪拌できること。
手を抜いていいポイントは、超高精度って分析計を使わなくても構わない。むしろ邪魔。直線性だけ保っていればそれで良いこと。

後者の理由は簡単で、とあるポンコツ温度計がおよそ10度ずれていたとして、それを使った計測はおよそ10度ずれるわけです。A. 20度の物体を計測すると30度を示す、B. 10度の物体を計測すると20度を示す。このポンコツであってもAとBの温度差だけは正確に計測できるわけです。これが直線性という概念です。

土壌呼吸によって土壌呼吸チャンバー内部のCO2は時間とともに上昇するばっかりなので、正確な絶対値がわからなくても直線性が保たれていれば、かつ、計測に要する最長数分間の間の直線性が確保できていればそれでいいんです。なので再現性も時間の制約が付いていて構わない。ついでに、分解能も数ppmあればそれで良し。そのくらい一般的な土壌ではCO2をばしばし出しているということでもあります。(極低温時はそうでもないけど、には注意。)
これまでに沢山のタイプの土壌呼吸チャンバーを製作してきましたが公開したことは無かったような。高さ3mのやつとか、現場組み立て、修理可能なやつとか。だからここオーソドックスなものを公開します。過去の色々な反省をフィードバックしてブラッシュアップが終わったほぼほぼ完成形です。

仕様
軽いと思える範囲で持ち運びができる。
単純な構造で壊れ難い。
時間差をもって、繰り返し同じ場所で計測するので場所の再現性を得る。

DSC00828.JPG
DSC00829.JPG
DSC00830.JPG
DSC00829.JPG
DSC00833.JPG
DSC00835.JPG

仕様部材
チャンバー/EMJ SChamber
CO2/GMP343
温湿度センサー/HD9009TRR
PAR/MIJ-14PAR Type2/K2
土壌温度計/熱電対シース入り
データロガー/THRMIC

ここで使ったGMP343はお客様持込でした。今作るならGMP252が良いと思います。
場所の再現性について、ここは正直奇策です。写真の中にビューレットが見えますがそれも使います。
排水マス用のアジャスターを流用。アジャスターを現場に設置したままにしておき、計測したいときにチャンバーを被せ、溝に水を貯める。
http://www.lyprone.com/exterior/17/
JOTOさんありがとう。という気持ちです。どこでも購入できて、安価で、頑丈で。
さらに、様々な直径と深さが購入可能。もう言うことなしです。
写真のチャンバーはφ300で製作してますが200くらいまでは実用的な範囲です。

日本環境計測国産部門担当HK
https://www.environment.co.jp/
posted by EMJ-TM at 16:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2020年11月02日

誰でもできる熱電対コネクターの付け方

誰でもできる熱電対コネクターの付け方

熱電対は便利で安価で温度を計測するにはとても都合がよい素材です。とは言え製作を業者に依頼すると、当然ながらかかった時間だけの請求が来ますからそれなりの金額になります。今日は予算は無いけど温度をいっぱい測りたい方向けの講習です。

屋外環境関係で計測する温度レンジは-20〜60℃の範囲で十分なのですが、その観点からの判断と材料の入手性を考慮すればT型かK型が良く使われるマーケットになります。特にT型は多く使われていますね。

更に温度を計測する場合は複数の対象が離れていることが多く、それゆえに熱電対が長すぎて現場でのハンドリングが悪いという状況に陥りがちです。対策としては熱電対用コネクタを装備すれば、ロガーとの脱着が簡単になります。また、現場で断線などのトラブルが生じても、コネクタ付きのスペアを準備しておけば交換が容易で、現場仕事の時間を短縮できます。

多くの場合この段階でふと気が付くのですが、熱電対のコネクタの付け方というのがネットでもあまり見かけないのです。あっても写真さえない不親切なことが多いのでこの講習というお話です。
IMG_20200916_172347080.jpg
熱電対の型に応じたコネクタを購入したらこういう物体が届きます。写真ではカバーは外してます。T型の場合は線の色で判別が容易なので、銅色してるもの同士をつなぐことは明白なのですけど、この1mmも無い穴が開いた白いゴムや四角いワッシャーはどうしたものか、、、ですね。このコネクタの端子は銅色は銅製、銀色はコンスタンタン製になってます。あとスタンダードサイズよりもミニチュアサイズのほうがお勧めです。熱電対の場合は大きいメリットが特に無く、ミニチュアのほうが安価だと一般的に言えるからです。

1 コネクタに接続したい側の茶色のシースをニッパーで剥きます。更に白と赤のシースも剥きます。この作業は慣れると茶+白+赤を一気に剥くことができるようになります。10〜15mm程度で十分です。
2 白いゴムに太目のピンセット閉じたままで通します。
IMG_20200916_172535761_MP.jpg
3 適度な幅を持つマイナスドライバーを使い、ピンセットを開きます。このときあまりにも開きすぎるとゴムが切れますからほどほどに、ただし、このゴムは結構頑丈なのでよほど開かない限りは切れません。
IMG_20200916_172636424_MP.jpg
4 開いたところに熱電対の先端を通します。20〜30mmも通しておけばよいでしょう。
IMG_20200916_172703578_HDR.jpg

IMG_20200916_172716253_MP.jpg
5 軸の径が2〜3mm程度のドライバーを使って写真の向きの場合、銅は反時計回り、コンスタンタンは時計回りに丸く加工します。ほぼ根元から丸くなっていることに注意しましょう。
IMG_20200916_172844603_MP.jpg
6 コネクタの白ゴムが収まる場所と端子固定ネジの位置関係を確認します。結構な短距離だなというところが重要で、5で加工した丸をほぼほぼ根元から丸くしている理由はこれです。「ねじを回す方向に電線を巻く」と覚えましょう。次に白ゴムの位置合わせのために仮置きして確認しましょう。おおよそ合っていればいい程度ですが、勘所としては写真のように茶色のシースがほぼ上限に来るところまでを気にしてください。
IMG_20200916_173215075_MP.jpg
7 ネジを外し、四角のワッシャーと端子の間に丸部を挟みます。そしてねじを締める。このときネジと丸部は直接絡んではないもののネジを締めると丸部が引きづられます。丸部の曲げ加工に方向性を指定したのはこのためです。逆向きに丸めると電線が緩むことが多いので、ここは重要です。
IMG_20200916_173301581_MP.jpg
8 あとは成り行きで元の通りに組み立てていけば完成です。
IMG_20200916_173553709.jpg
今回はコネクタ部分の組み立て方を記載しました。熱電対は異種金属が接触している部分が起電力を発生する(ただし、零接点を基準として)というものなので先端の接触をどうするかが肝になりますから、それはまた後日。

日本環境計測国産部門担当HK
https://www.environment.co.jp/
posted by EMJ-TM at 14:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2020年10月27日

EMJがデンドロメーターの開発に時間をかけている理由

EMJがデンドロメーターの開発に時間をかけている理由

弊社では2020年2月からデンドロメーターに力を入れ、その種類を増やしています。わかっている人は何も言わなくてもそのメリット、デメリットを把握してらっしゃいますが、
ただ、普通はそんなことは解りようがありません。今日はこの部分を説明します。

まず、植物に関係するパラメーター(数字に置き換えられる物理量)は沢山ありますが、その代表的なものを特徴と一緒にまとめました。

No. Parameter
1 光合成速度 Photosynthesis rate
2 蒸散速度 Transpiration rate   
3 樹液流速 Sap Flow  
4 葉温度もしくは飽差 Leaf Temp. Humidity Deficit
5 水ポテンシャル Water Potential
6 成長速度 Plant Scale or Grow
7 蛍光反応 Fluorescent
         
8 光量子 Phtosynthetic Photon Flux Density
9 相対湿度もしくは飽差 Relative Humidity or Humidity Deficit
10 大気温度 Air Temp.
11 土壌水分 Soil Water Contents
12 土壌温度 Soil Temp.
13 土壌酸素 Soil Oxygen
14 土壌の電気伝導度 Soil EC
Plantsparameters.png

7と8の間にブランクを入れた意味は、植物からの直接的なパラメータと、環境要因のパラメータに分類したという区分けです。

環境要因って、つまりは植物が生育しているその環境のことです。大企業が農業IoTと関連付けてはしゃいで計測しがちなパラメータが後者です。なぜそんなことになるかと言うと、電子部品扱いのセンサーとして入手性が良く、価格が安いからそれを使った機材は利益が大きくなるという製造開発者側の都合のみで選定されているからで、決してユーザーの視点ではありません。例外的に植物工場でコントロールできるのは環境要因しかないので、その場合は計測する意味がありますし、むしろ重要だといえます。

それらを計測しても環境の状態が把握できるだけで、植物そのものの状態を把握することは無理です。例えると、医者が患者の体を全く診察せずに、患者の生活環境を調査することで病気の原因を探っているという状況です。何か原因が解ることもあるだろうけど、先にもっと診ることがありますよね。直接的なパラメータをまずは診るべきなんです。

では分類の中で直接的パラメータだけを見ましょう。本当はこれらのパラメータが自動で、消費電力が少なく計測できれば一番なのですが、そういうわけにも行かない現段階。自動じゃなくても根性で手動計測の頻度を上げればいいモンね、という考え方ももちろんありですけど、現実的ではないんです。ほとんどの場合電力を要求する機材なので、充電、メンテも必要になるからです。努力の結果、学会発表や論文なんかでグラフを見ると「疎」なグラフがほとんどですね。疎だと何がいけないのかと言われれば、解析がしにくい、しやすいという違いが出てきます。環境要因などと関連付け、相関を解析することになってきたとき、10分に1回のパラメーターと、2時間に1回のパラメータの間かつ夜間はお休みというそれの比較では、有効な値の数が圧倒的多数になってきます。

Auto MeasurementとLow Power Consumptionにて○が無いものは計測が厄介なことを示します。自動計測が出来ず、消費電力が大きければ両方に○がありません。この内両方に○が付くパラメータは、Leaf Temp. Humidity Deficit (葉温度もしくは飽差)、Plant Scale or Grow (成長速度)の2つです。

これが弊社がしつこくデンドロメーターを開発し続けている理由です。電力の準備が難しい屋外で、自動計測ができる直接的なパラメータは少なく、その中で弊社がこっちの方が面白そうと思うものを優先した結果です。

もう1つの理由として、驚くことに植物の研究ではこの成長速度というパラメータに着目せずに進んできた経緯があり、それをなんとかしようという目論見です。そういうモノがなかったのでという理由もあります。目視型のデンドロメーターで0.1mm分解能で毎年1回の計測を数年実施とかはあるんですが、それでは季節変化や日変化の確認はできません。直径の日変化のスケールは20μm程度の範囲なので、それは0.1mm刻みの分解能の20/1000*0.1=1/500・・・・見えません。電気的デンドロメーターでははっきり見える範囲ですが比較してもねえ・・・肉眼と顕微鏡の比較のようなもので比較しても意味がないです。

デメリットについて、デンドロメーターで計測した値は、長期トレンドと短期トレンドの両方を含む値しか確認が出来ません。前者は例えば1年間の成長の履歴を指し、それは春夏は肥大、秋冬は停滞という特徴を持ちます。後者は日中午前は収縮、午後は定常、日没から翌日の日の出までは肥大というサイクルを示します。
人間で言うところの脈拍のイメージです。ただし、雨天時、曇天時は不整脈や心停止したりします。
Quercus-Myrsinifolia-Stem.png

計測した値は「長期肥大成長 + 水による日々の脈拍」になるので、例えば日変化のみが必要であれば年変化を関数にし、それを長期トレンドとして計測値から引き算すると日変化が見えるという解析が必要になります。そうすればいいだけなのでデメリットといえるかどうか、ただ初心者には注意事項であることは確かです。

実は電気式デンドロメーターの醍醐味は年変化より日変化です。分解能が0.1μmというエリアになってくると1日のフルスケール20μmの1/200が見えてきます。その駆動力は導管の脈拍です。さらにその駆動力は根からの吸水、葉からの蒸散によって生じるミクロな動きになりますし、それは日々繰り返される植物生理の1つの現象です。先の表にまとめているように直接的なパラメーターが見ている根本的な物質は水であり、総じて、植物の直接的パラメーターとは水の動きなのです。二酸化炭素も吸収しますけど、それは光合成で水と同じ周期で変化しますから、水とCO2には相関が出ます。

人って掛けた金額に相当する見返りを期待します。高いものは価値があり、安いものは価値がないというものさしです。社会ではそういう面もありますけど、自然や植物ってのは人が作ったそういう付加価値に関するものさしは全く認識していません。表にまとめた1〜7番はどれも高額で中には数千万かかるものも含まれています。じゃあ高いものほど良い結果を生むのかと言えば、そういうことは全くありません。価格の高低に関わらず、全てのパラメータは対等な価値を持ち、自動連続観測できるものは更に実用的という別の価値が加わります。

弊社の開発や改良というのは終わりが無いので、当分の間はモデルが増えたり、勝手に改良したりということが継続するとは思いますが、最初に単品特注品として着手したのは15年ほど昔、再着手したのが2016年頃、それから断続的とは言え継続してますから累積年数ではなかなか長いことやってるなと思います。

2016年以降の設計思想は、なるべく単純、無駄を省く、分解能を上げるの3つで進めてきました。その結果として販売台数が妙に増え、それが理由で部品コストが勝手に下がり、2020年の10月から大幅な値下げが可能になりました。この値下げは弊社の努力は皆無で、これまでのお客様が沢山買ってくれた成果です。そういうことで、多くの方にとって検討いただくには良い時期に入ったと言えます。

https://environment.co.jp/dendrometer
LMS.jpg

LM.jpg

Rotaly.jpg

日本環境計測国産部門担当HK
https://www.environment.co.jp/
posted by EMJ-TM at 17:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記