2007年09月19日

小型FluorMeterについて

小型FluorMeterについて

近年、沢山のFluorometerが出そろってますが、片手で操作可能な測定器という枠で考えた場合、以下の3機種が該当します。
Hansatech−PocketPEA
PEA.jpg

PSI-FluorPen
FP100.jpg

Optiscience-OS-30p
OS30p.jpg

私、全てのメーカーを触ってしまいました。凡その特徴をお伝えします。

測定手段としてLeafClipを使用するのがFluorPenとOS-30pの2機種。
FluorPenは本体先端に装備されており、そのクリップで直接サンプルを挟む構造です。フルオロメータの場合、全ての機種が透過ではなく反射を測定しているので、ディテクターは本体側にあります。操作もコンパクトモデルはキーが少数しか付いていないので買ったその日から使えるのが特徴です。ですが、あまりに簡単な操作ですから「これで終わり?」と思えてしまうこともあります。

まずはLeafClipとは何ぞや?とお思いの方に説明しましょう。
形状は洗濯ハサミの先端が丸いものをイメージしてください。主に暗処理用に使用されます。測定する際に、付属のスライダーを引いて、測定面だけを露出させ測定を行います。

これは、測定が簡単になるように考案されたのですが、サンプルへのストレスを回避する為に挟む力がかなり弱いのが特徴です。ですのでクリップの自重で、茎がしなってしまい外れてしまう事があります。外光が影響しないようにクリップと本体受光部が合体する構造になっているので、実際には片手で操作するのは難しいですね。

まあ暗処理をするだけならアルミ箔でサンプル全体を覆っておいて、測定する際に外せばいいのですから、そんなに意味は無いのかもしれません。

コンパクト器は、測定パラメーターはFo、Fm、Fv、Fv/Fmくらいです。唯一存在するプログラムのKautsuky Curveで検出出来るのは上記パラメータだけです。OS30pとFluorPenの場合はオプションでOJIPが取れます。

数値は全て内部プログラムで計算された値が検出されるのも共通です。なので、そのまま信用するのはちょっと怖いですよね!生データも見れないので、根拠が分らんのです。

OS-30pだけは唯一KineticsがLCD画面上で見る事が出来ます。
Liveではないのですが、測定後Graphが見えるので判別の材料にはなります。

OS309monitor.jpg

ただその機能があるからか他の2機種よりは金額が張ります。

FluorPenには最近2タイプ新バージョンがデビューしました。先端を水中に差し込む事が出来るAquaと、
FP100aqua.jpg


採取した藻類を収められるキュベット付きのAquaCです。
FP100AquaC.jpg


これは藻類等を現場で採取測定出来る画期的な物だと思います。
Aquaも全体を防水にすればDivingPAM買わなくてもいいかもです。
                 

最後に、可能であればMINI-PAMとか6400をお持ちであれば、夫々との相関を出して使うといいです!小型Fluormeterは屋外で多点測定の際に便利だと思います。ご利用は計画的に!!

日本環境計測輸入部門担当TM
http://www.environment.co.jp/

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2007年09月11日

植物と土壌の水ポテンシャル測定器について

植物と土壌の水ポテンシャル測定器について

測定方法として大きく分けて露点式と圧力式の2タイプがあります。
簡単に言えば、窒素ガスなどの圧力で強制的に水ポテンシャルを短時間で計測出来るのが圧力式、チャンバー内で平衡させ熱電対で検知するのが露点式です。測定サンプルや測定場所等で機器の使い分けをしているのが現状です。しかもこれらは20数年間基本設計が変わってないので、これ以上変更は無さそうです。絶対値を求めるのなら圧力式を選ぶでしょうし、土壌測定なら露点式でしょう。

圧力式PressureChaber法にはPMS社とSoilMoisture社が有名です。どちらも基本的には構造に大きな差はありませんが、デザインが大きく違います。

pms.jpg

PMS社は携帯性を持たせる為に、本体をケースに内蔵出来る様デザインされています。というよりケースに本体が仕込んであります。サンプル長により何種類かのチャンバー筒を選択する事が出来ます。言う事なし!!

pwsc.jpg

SoilMoisture社は巨大で安定感はバッチリなんですが、携帯性低いです。あと最近日本の代理店が撤廃されて、オーストラリアのICTって会社がオセアニア・アジア地区の代理店として幅を利かせています。ですから至極当然価格が高額になってしまいました。またICTは土壌水分センサー関連で特許権侵害するなど問題を抱えているらしいので、ユーザーは災難です!!

SoilMoisture社は他にもセラミックプレートを規格外でも安価で流通してくれてたので、本当に良い会社だったんです。それが国内では卸値高くなるし、中間のディーラーが増えた分、納期は長くなるしでにっちもさっちも行かなくなってます。ここは是非、有田焼や信楽焼など日本のセラミックメーカーにがんばってもらいたいところです。

この現状を打破すべく、一人の大学教授が立ち上がりました。New-typeの登場です。より軽量化を求め、かつ耐久性も備えたPressureChamberを開発しました。

potential.jpg
プロト1

arakipotential.jpg
プロト2

重量は3キロ以下、50Barに耐えうるBodyを持っております。なんとチタン製です。現在はボンベ直付けタイプに進化すべく鋭意開発中です。価格も非常にリーズナブルに提供して頂けそうです。

次に露点式ですが、Wescor社HR-33TとDecagon社WP4(もしくはAqua LABという名称。)があります。HR-33Tも20数年前から発売されていてマイナーチェンジはしていますが、内容は殆ど変わっていません。土壌・植物体・何でも対応出来ますが、とにかく時間がかかります。

HR-33T.jpg

HR-33Tはチャンバーにサンプルを入れて平衡状態になってから計測が出来るのですが、土壌なら3〜4時間、植物体なら経験者によれば長ければ10時間程度と言われております。機械の前に座って待っていると1日が終わります!

そういう理由から密閉できる外付けチャンバーが安価で、多数のサンプルを採取後、十分に温度、湿度に関して平衡時間を確保して、最後にえいやっと全部計測してしまうという仕様です。この仕様はなるほどねえと感じます。

センサーは高精度チャンバー、土壌チャンバー、水没可能(WaterBathつまり恒温槽に投げ込め仕様。)チャンバーと豊富にあります。最大の特色として唯一植物体非破壊計測可能なL-51AFというセンサーを持っています。

L51.jpg

ただし重量が重いので、三脚等で固定してあげて下さい。これはチャンバーの体積部分は良くできていて、熱電対部分は実に極小に作られてます。

psypro.jpg

最近はデジタルタイプのPsyProが発売になりました。1台で9チャンネル制御と見た目はいいのですが、1チャンネル毎(チャンバー毎)の校正が出来ず、ヨーイドンって感じで全部強引に計測が始るので、精度は疑問です。

WP4(Aqua LAB)は土壌測定には最適の機種だと思います。土壌水分の研究をされている研究室にはお薦めの商品に間違いないです。バッチ測定になる点を除けば最強です。ただ植物体はかなり苦労する事を覚悟してもらわないといけません。(詳細後述)

CX3.jpg

HR-33Tと違い植物体をそのまま計測する事が難しいそうで、研磨紙等で表面を軽く削る必要があるそうです。それも人間の手で!!
毎回同じ厚みで削れる人がいたら人間国宝に推薦します。現代の匠です。なので植物体は止めた方が得策です、無駄な努力はただの浪費です。代理店さんは測定5秒と強調してたのですが、正解は平衡してから5秒です。表現のトリックでウソではないんですが・・・。正確には平衡10時間後の5秒なので10時間5秒後です。さすがにヤバイと思ったのか温度順化制御ユニット(つまり恒温槽)を最近発売してます。20万円也。しかし温度平衡時間の短縮にはなると思うので、ご予算に余裕のある方には良いでしょう。

ただし、これは露点についての平衡ではなく、サンプルの温度についての平衡です。チャンバー内の水蒸気の発生源はサンプルしかないですから、植物サンプルが持つ水分の絶対量は土壌サンプルに比較して、体積的に見ても、とても少ないと言えますから、植物サンプルでチャンバー内部が水蒸気で飽和するのには長時間を要するという経験談は、理にかなってます。その対策が手で研磨という事情です。拡散が促進されるわけです。

また、サンプルの水分が放散して失われるわけですから、採取時との条件が違います。この誤差はどうやって評価するのかという問題を回避するには「なるべく沢山のサンプルを入れてしまえ。」というのが正解でしょうか?刻んでしまったら物理的に自由水が増えるような気がしますがここはどう考えたらいいのか解りません。是非コメントを。

一点解釈に困っているのがサンプル温度の測定に放射温度計、つまりサーモパイルを使っている点です。放射温度計を単独で使用している方ならお気付きだと思うんですけど、測定対象物の色の違いでかなりの誤差、(温度にして数℃の範囲)が発生するんです。色次第で赤外線の吸収量はずいぶん変わってしまう為です。サンプルは葉、土壌、種子などいろいろ計れるよって書いてはいるんですけど、そこが心配です。非接触で計るメリットとその誤差のトレードオフはどうなってるんだろうと言う疑問です。

実はつい最近WP4-T(CX-3TE)というモデルが出ました。チャンバーの温度コントロール機能がついたものです。平衡時間とは無関係ですが外気温度の影響は露点に猛烈に影響しますから、最初からあった方が良い機能です。でもこの機能が付いたことで、室温になじんだサンプル温度がチャンバー内温度と差が生じるという事が「目立つ」ようになった為、上記の恒温槽が登場するわけではないのかなあと推測します。

さて、WP4とAqua LABという名称を上記していますが、実はこれらはハード的には同じ物なんです。ですが、前者が水ポテンシャル測定装置、後者が水分活性測定装置という理化学マーケットと医薬、食品マーケットの区分けが有り、DECAGON社はそれぞれのマーケットに向けてマークを代えてリリースしています。何が違うかっていいますと、測定単位が違います。前者はMpa、後者はaw、もちろん換算可能な値です。

サンプルを密閉容器に入れてその中の水蒸気圧p0をCX-3TEで計測し、その際の温度における純水の飽和水蒸気圧pとの比の事をaw (water activity)と言います。Aw=p0/pです。サンプルが溶解などで固定できる水蒸気圧と、固定できない自由水の水蒸気圧は材質や組織の構成や状態で変化します。(あとは温度も)自由水が多いほどawは1に近づきます。WP4ではp0のみを計測し、出力します。1回の割算しか違いがないです。相対湿度の定義に似てますね。思わず%を付けたくなります。飽和蒸気圧/温度は理科年表にもありますとおり温度だけで決定されます。CX-3TEは温度コントロールしてますから問題はないと、なりますね。個人的に気圧が関係するんじゃないかと思ったんですが、関係なさそうです。

で、不思議なことにお値段は医薬マーケット向けAqua LABの方が安価です。何のこっちゃなんですけど。

参考までに、とても解りやすい解説に勝手リンク。(学生実験資料のようです。)http://zgkw3.mse.kanagawa-it.ac.jp/jikken/jkn2/houwa.PDF

総評:屋外で茎のある植物の水ポテンシャルを沢山計測する方はPMS。屋外若しくは屋内で茎のないサンプルあるいは土壌を沢山計測する方はHR-33T。屋内で土壌を精度良く計測したい方はAqua LAB CX-3TEとなります。あっ、最後のは価格を押さえたい場合です。上記の理由で1回だけ掛け算する必要がありますから。

日本環境計測輸入部門担当TM
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WP4続報
posted by EMJ-TM at 11:07| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記

2007年09月03日

ポロメータについて

ポロメータについて

現在国内で使用されているポロメータは4種類あります。(スーパーポロメーターは生産中止なので除外)大きく分けて高精度で高額なので2機種、精度は若干甘目で低価格なのが2機種あります。

低価格で代表的なのがSC-1になります。
SC1-1.jpg
もう1機種はオーストラリアの手動ポンプ型のポロメーターがありますが殆ど使用例を聞きません。
参考リンク:http://www.thermoline.com.au/products/porom.htm

彼の有名なキャンベル博士が開発しているので適当な作りだとは思いませんが、全ての環境下で対応する物でもなさそうです。この辺の理由はローコストな設計が影響しているようです。

センサー部に湿度センサーが使われているのはSC-1でも同じですが、通風しないこと、乾燥ガスを製造しないことが特徴です。これによって、ファン、ポンプ、除湿剤やそれを入れるカラムなどが不要になると言う思い切った設計です。乾電池で長時間動作する、小型軽量、安価という特徴はこういうところが大きく影響しています。ただし実際に使用してみての弱点として、外気が高湿度な場合に測定が困難でした。チャンバーを開けた状態で、フリフリすると、チャンバー内部の空気が外気と平衡します。それがチャンバー内部湿度の初期値となります。つまり日本のように湿度が高く、例えば80%RHだったとすると、最大100%RHまで測定したとしても20%RHの測定スケールしか使えません。しかもこの高湿度域では湿度センサは応答速度が悪いです。Autoモードで測定したら悲惨な結果を示します。

チャンバーヘッドがアルミ削り出し部品です。これは、内蔵する温湿度センサーがそこに装着されていて、葉の温度がアルミブロックを経てセンサーで検出できるような仕組みなんですが、葉の温度は蒸散で下がりますので、計れているかどうかが少々疑問です。実測した方が賢明です。こういう理由から、ここは触らないように気を付けましょう。体温の影響が生じます。また、このくらいの熱容量を持つブロックは環境温度になじむのに十分な時間が必要です。30分以上は測定場所に置いてから計測をスタートすべきです。屋外では日射の影響も大きいので気を付けましょう。

上面にテフロン膜がありますが、そこは外気と通気しています。葉表面→湿度センサー1→湿度センサー2→テフロン膜→外気という方向にH2Oは移動しますが、その移動によって出来るH2Oの濃度勾配を計測する構造です。なので、このテフロン膜も触ってはいけません。この構造は強風下で測定する時には誤差要因となります。
SC1-2.jpg
結果的に、強風下や高湿度の環境では、測定にかなり苦労します。熱帯雨林や東南アジアで使用するなら敢えてお薦めはしません。湿度空調の効いた研究室や外気から遮断された温室なら問題なく測定できると思います。弱点は温度測定の方法と構造、強風下では計測できないという2点です。ユーザーが出来ることは、環境温度に十分なじませて、アルミ部分を触らず、日射をうまく避ける、強風下では使わないと言う事です。

Delta-T社のAP4は、前機種AP3の後継機種として発表され発売開始して10年近く使用されていますし、私も長く関与していますので詳しいです。設計そのものは実にスタンダードなものです。
AP4.jpg

本体内部にポンプが内臓されていて、シリカゲルを通して乾燥空気がチャンバー内に送られます。これがZERO値となりベースラインを検出します。

その後、葉を挟んだ状態で計測し、ベースラインとの差を気孔コンダクタンスとして数値化することで常に定常条件(SteadyState)で測定をしています。

また最大の利点として、測定現場で自己校正が出来る事があげられます。
SC-1はメーカー校正が必要になります。(露点発生器を持ってれば別です。)それに対してAP4は本体に基本データが蓄積されており、なんと穴あきビニール袋を基準として精度補正をユーザーで実施可能なのです。
自己校正を行えば5%以内に精度を維持できます。ユーザーの熟練度が上がれば3%以内に校正を行えます。つまり校正さえしていればべらぼうな値を示すわけがない仕組みです。

チャンバーヘッドもSlotとCircleの2タイプが、一つのチャンバー内にあります。細葉と小葉のどちらでも対応可能です。測定スポットまでのリーチ(葉の端からどこまで届くかの距離)は最大70mmです。AP4はチャンバー上部に光量子センサー、チャンバー内部にサーミスタ温度センサーが付いています。

悪い点と言えば、スーパーポロメータではLCDに表示される蒸散速度(gH2Om-2s-1)が、AP4の画面では表示されない事です。ただし気孔拡散抵抗と葉面境界層抵抗から計算式で算出可能です。

*蒸散速度の計算
E = cv (wvdc - wvdl)
E : flux density of water vapour, in g m-2 s-1,
cv : conductance in velocity units, m s-1,
wvdc : water vapour density, at the cup RH and temperature, g m-3.
wvdl :water vapour density, at the leaf RH and temperature, g m-3.

SC-1については、ココは同じで速度は表示されません。葉温センサーが独立しては見あたりませんが、これは温室度センサーを使っているので、両方同じ素子で検出してます。

* 総評
SC-1での測定は、ある程度の測定知識と経験が必要かと思われます。屋外での測定を環境を変えて何度か試みたのですが、同じサンプルでも環境の影響を受け安定したデータを得るのは至難の業でした。回避するにはアベレージ測定やAutoモードではなくManualモードで長時間計測等で対処するのも一つの手かもしれないです。北米の気候では良いのでしょうけど日本ではすべからく簡単にはいきません。しかし一方で価格をここまで押さえたことは強力なメリットです。対して、AP4は簡単な操作で環境の影響が少ないです。初心者でも手順を守って頂ければ簡単に行えます。使い易さと誰でも安定した計測が出来るようにとの設計思想が入ってますから、構成部品が多くなり、値段が高い結果になっています。

そもそも日本のような高温多湿で、上手く測定するのは難しいです。でも植物は夏に育つわけで、その時期に測定したいわけで、難しさはそこにあります。双方共にアメリカとイギリス製なので、日本の環境までは開発時考慮されているとは思えません。ただし、運良く偶然にも乾燥ガスを使う仕様のAP4は十分対応できています。個人的には精度や再現性に一番効くのは現場でのキャリブレーションが出来るところではないかと思います。

日本環境計測輸入部門担当TM
http://www.environment.co.jp/
AP4のキャリブレーションに使う紙って?
posted by EMJ-TM at 11:21| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記