2007年09月11日

植物と土壌の水ポテンシャル測定器について

植物と土壌の水ポテンシャル測定器について

測定方法として大きく分けて露点式と圧力式の2タイプがあります。
簡単に言えば、窒素ガスなどの圧力で強制的に水ポテンシャルを短時間で計測出来るのが圧力式、チャンバー内で平衡させ熱電対で検知するのが露点式です。測定サンプルや測定場所等で機器の使い分けをしているのが現状です。しかもこれらは20数年間基本設計が変わってないので、これ以上変更は無さそうです。絶対値を求めるのなら圧力式を選ぶでしょうし、土壌測定なら露点式でしょう。

圧力式PressureChaber法にはPMS社とSoilMoisture社が有名です。どちらも基本的には構造に大きな差はありませんが、デザインが大きく違います。

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PMS社は携帯性を持たせる為に、本体をケースに内蔵出来る様デザインされています。というよりケースに本体が仕込んであります。サンプル長により何種類かのチャンバー筒を選択する事が出来ます。言う事なし!!

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SoilMoisture社は巨大で安定感はバッチリなんですが、携帯性低いです。あと最近日本の代理店が撤廃されて、オーストラリアのICTって会社がオセアニア・アジア地区の代理店として幅を利かせています。ですから至極当然価格が高額になってしまいました。またICTは土壌水分センサー関連で特許権侵害するなど問題を抱えているらしいので、ユーザーは災難です!!

SoilMoisture社は他にもセラミックプレートを規格外でも安価で流通してくれてたので、本当に良い会社だったんです。それが国内では卸値高くなるし、中間のディーラーが増えた分、納期は長くなるしでにっちもさっちも行かなくなってます。ここは是非、有田焼や信楽焼など日本のセラミックメーカーにがんばってもらいたいところです。

この現状を打破すべく、一人の大学教授が立ち上がりました。New-typeの登場です。より軽量化を求め、かつ耐久性も備えたPressureChamberを開発しました。

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プロト1

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プロト2

重量は3キロ以下、50Barに耐えうるBodyを持っております。なんとチタン製です。現在はボンベ直付けタイプに進化すべく鋭意開発中です。価格も非常にリーズナブルに提供して頂けそうです。

次に露点式ですが、Wescor社HR-33TとDecagon社WP4(もしくはAqua LABという名称。)があります。HR-33Tも20数年前から発売されていてマイナーチェンジはしていますが、内容は殆ど変わっていません。土壌・植物体・何でも対応出来ますが、とにかく時間がかかります。

HR-33T.jpg

HR-33Tはチャンバーにサンプルを入れて平衡状態になってから計測が出来るのですが、土壌なら3〜4時間、植物体なら経験者によれば長ければ10時間程度と言われております。機械の前に座って待っていると1日が終わります!

そういう理由から密閉できる外付けチャンバーが安価で、多数のサンプルを採取後、十分に温度、湿度に関して平衡時間を確保して、最後にえいやっと全部計測してしまうという仕様です。この仕様はなるほどねえと感じます。

センサーは高精度チャンバー、土壌チャンバー、水没可能(WaterBathつまり恒温槽に投げ込め仕様。)チャンバーと豊富にあります。最大の特色として唯一植物体非破壊計測可能なL-51AFというセンサーを持っています。

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ただし重量が重いので、三脚等で固定してあげて下さい。これはチャンバーの体積部分は良くできていて、熱電対部分は実に極小に作られてます。

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最近はデジタルタイプのPsyProが発売になりました。1台で9チャンネル制御と見た目はいいのですが、1チャンネル毎(チャンバー毎)の校正が出来ず、ヨーイドンって感じで全部強引に計測が始るので、精度は疑問です。

WP4(Aqua LAB)は土壌測定には最適の機種だと思います。土壌水分の研究をされている研究室にはお薦めの商品に間違いないです。バッチ測定になる点を除けば最強です。ただ植物体はかなり苦労する事を覚悟してもらわないといけません。(詳細後述)

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HR-33Tと違い植物体をそのまま計測する事が難しいそうで、研磨紙等で表面を軽く削る必要があるそうです。それも人間の手で!!
毎回同じ厚みで削れる人がいたら人間国宝に推薦します。現代の匠です。なので植物体は止めた方が得策です、無駄な努力はただの浪費です。代理店さんは測定5秒と強調してたのですが、正解は平衡してから5秒です。表現のトリックでウソではないんですが・・・。正確には平衡10時間後の5秒なので10時間5秒後です。さすがにヤバイと思ったのか温度順化制御ユニット(つまり恒温槽)を最近発売してます。20万円也。しかし温度平衡時間の短縮にはなると思うので、ご予算に余裕のある方には良いでしょう。

ただし、これは露点についての平衡ではなく、サンプルの温度についての平衡です。チャンバー内の水蒸気の発生源はサンプルしかないですから、植物サンプルが持つ水分の絶対量は土壌サンプルに比較して、体積的に見ても、とても少ないと言えますから、植物サンプルでチャンバー内部が水蒸気で飽和するのには長時間を要するという経験談は、理にかなってます。その対策が手で研磨という事情です。拡散が促進されるわけです。

また、サンプルの水分が放散して失われるわけですから、採取時との条件が違います。この誤差はどうやって評価するのかという問題を回避するには「なるべく沢山のサンプルを入れてしまえ。」というのが正解でしょうか?刻んでしまったら物理的に自由水が増えるような気がしますがここはどう考えたらいいのか解りません。是非コメントを。

一点解釈に困っているのがサンプル温度の測定に放射温度計、つまりサーモパイルを使っている点です。放射温度計を単独で使用している方ならお気付きだと思うんですけど、測定対象物の色の違いでかなりの誤差、(温度にして数℃の範囲)が発生するんです。色次第で赤外線の吸収量はずいぶん変わってしまう為です。サンプルは葉、土壌、種子などいろいろ計れるよって書いてはいるんですけど、そこが心配です。非接触で計るメリットとその誤差のトレードオフはどうなってるんだろうと言う疑問です。

実はつい最近WP4-T(CX-3TE)というモデルが出ました。チャンバーの温度コントロール機能がついたものです。平衡時間とは無関係ですが外気温度の影響は露点に猛烈に影響しますから、最初からあった方が良い機能です。でもこの機能が付いたことで、室温になじんだサンプル温度がチャンバー内温度と差が生じるという事が「目立つ」ようになった為、上記の恒温槽が登場するわけではないのかなあと推測します。

さて、WP4とAqua LABという名称を上記していますが、実はこれらはハード的には同じ物なんです。ですが、前者が水ポテンシャル測定装置、後者が水分活性測定装置という理化学マーケットと医薬、食品マーケットの区分けが有り、DECAGON社はそれぞれのマーケットに向けてマークを代えてリリースしています。何が違うかっていいますと、測定単位が違います。前者はMpa、後者はaw、もちろん換算可能な値です。

サンプルを密閉容器に入れてその中の水蒸気圧p0をCX-3TEで計測し、その際の温度における純水の飽和水蒸気圧pとの比の事をaw (water activity)と言います。Aw=p0/pです。サンプルが溶解などで固定できる水蒸気圧と、固定できない自由水の水蒸気圧は材質や組織の構成や状態で変化します。(あとは温度も)自由水が多いほどawは1に近づきます。WP4ではp0のみを計測し、出力します。1回の割算しか違いがないです。相対湿度の定義に似てますね。思わず%を付けたくなります。飽和蒸気圧/温度は理科年表にもありますとおり温度だけで決定されます。CX-3TEは温度コントロールしてますから問題はないと、なりますね。個人的に気圧が関係するんじゃないかと思ったんですが、関係なさそうです。

で、不思議なことにお値段は医薬マーケット向けAqua LABの方が安価です。何のこっちゃなんですけど。

参考までに、とても解りやすい解説に勝手リンク。(学生実験資料のようです。)http://zgkw3.mse.kanagawa-it.ac.jp/jikken/jkn2/houwa.PDF

総評:屋外で茎のある植物の水ポテンシャルを沢山計測する方はPMS。屋外若しくは屋内で茎のないサンプルあるいは土壌を沢山計測する方はHR-33T。屋内で土壌を精度良く計測したい方はAqua LAB CX-3TEとなります。あっ、最後のは価格を押さえたい場合です。上記の理由で1回だけ掛け算する必要がありますから。

日本環境計測輸入部門担当TM
http://www.environment.co.jp/


WP4続報
posted by EMJ-TM at 11:07| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記