2012年02月22日

光センサの拡散板と遮光リングの相互的な位置関係、形状及び材質、入射角特性に関するお話

光センサの拡散板と遮光リングの相互的な位置関係、形状及び材質、入射角特性に関するお話

備忘録にもなってしまうのはメリットだなあと思いつつ、忘れても困らない案件ばっかりの年度末は、なんの価値もない事が頭を占める季節です。寒いし。

前回に続き、また光センサーのお話の小出しです。拡散板という単語でピンとくる方は、それだけで、あらゆるジャンルにおいて、マニアかもしれません。だいたい男の趣味に使われることが多い単語で、カメラ他の光学機器、照明器具、バックライト付きのディスプレイなど、まあ、だいたい色で表現すると黒物の世界でよく使われる部品。要するに、光を拡散する板です。で、だいたい白い色したものが多いです。

何故白かというと、白は可視光を反射し、吸収しない性質を持ち、それゆえ、可視光範囲での拡散板の定番は白になってしまいます。板の中を光が透過する際に多重反射を沢山起こして欲しくて、そうすると、黒じゃ無いなあというイメージはつかめると思います。なので、白だと理解しましょう。

光のセンサー類で拡散板を使うのは、光電素子を利用した機材に限られ、熱型のサーモパイルなどでは、まず使うことがありません。実は、ココが設計上とてつもなく、相違なんです。

日射計でよく使われるサーモパイルの場合、熱が伝われば応答しますので、光を効率良く熱に変換する事が肝要で、かつ早く応答しなければならないという話になります。そうすると、熱容量を小さくして、吸収しやすいように真っ黒にしたくなる。もっと言うと、黒で発泡体なんてのは完璧だとなるわけです。実際、良く作り込んだ日射計の黒板は発泡とは言いませんが、つるつるではなく、でこぼこになっており、これは同時に反射も押さえる役目も持ってます。

光電素子の方に話を戻して、何故拡散板が必要なのかという理由ですが、素子は通常キャンと呼ばれる窓付きのカンカンに入っており、(その理由は不活性ガスを共存させて、酸化を防いだりしている為です。ここの段階で本来はサーモパイルより長期耐久性に優れています。)そのカンカンの設計は、最初から入射角特性に制約が出てしまうという事情があったりします。

ここで言う入射角特性というのは、一般的な生活の上で光電素子が使われる場面を想像すると、カメラの露出補正のフィードバックや、人感センサー、テレビなどのリモコンなど、基本的に我々マニアが想定するお日様の光が入射するときにセンサーと成す相対角度と言った事とは全く関係がない範囲では、十分に常識的な範囲で納得できる特性を持ちます。が、これではお日様相手だと全く歯が立たない。

ここで、拡散板を光電素子の前に設置するのですが、白色の板で選ぶと、普通に思い浮かぶのが、白色アクリルです。で、アクリルは耐候性が汎用の上では非常に高いと言えるのですが、これまた我々用途には限界があります。一般的に紫外線防止剤が混入されており、その理由は紫外線劣化が起こるからとも言え、光を計測する用途では、どうしても劣化の速度が速いと解釈するしかないレベルなんです。ですが、これがまた、接着性に優れており、金属相手でもなかなか強力に、かつ、容易に接着できてしまう便利な素材なんです。

こういう理由で、古くから、光のセンサーには白色アクリルが定番となっており、今に続く仕様で、本当言うと僕も使いたい、使った方が楽、コストが安いと魅力は感じます。ですが、今回は出来ることは全てやってみる、が方針なので、こんなものは使わず、PTFE(通称テフロン)を採用しました。

このテフロン、正直やっかいです。機械加工の面で言えば、鏡面仕上げが難しい。接着性で言えば、まともな接着は不可能。値段では、とにかく高い。反面、耐候性、安定性、耐薬品性(酸性雨対策)、撥水性、吸水性は、これ以上理想に近い素材はない。これら無敵の特性が無ければ使わないのですが、使うしかないと判断しました。

次に、形状です。筐体の縁を基準に、1.フルフラット、2.円柱凸型、3.球面型の3タイプがあり得る形です。凹型は水やゴミがたまるのであり得ない。全ての形状が既出であり、オリジナリティは出せ無いなあと思いつつ(しかし、後ほどオリジナリティは出せる事が判明)、それぞれの形の意味を考えました。

DiffType123.jpg
1.フルフラット、これは一番素直な形ですが、黒体以外の物体は全て反射率を持つことを知らないか、無視している形状と言えます。白色の拡散板で光を反射しないものがあればこれも良いのですが、そんなのはありません。2.凸型、これは意味があり、1で問題となる部分を補正する事を考えた形状です。3.球面型、これも意味があり、雨滴を留まらせない、乾性沈着を減らす。ここまでで1以外は良いと判断できます。こんなものの実測値なんてどこも公開しないので、実際にデータを取ってみる訳ですが、結果はこういうことになります。

DiffETCwoRing.jpg

1. フルフラット、赤
2. 円柱凸型、緑1mm凸、オレンジ1.8mm凸
3. 球面型、青

ここまでで解ることは、1.フルフラットと3.球面型はほぼ同じ特性。特記事項85°以上でフルフラットが最悪。2.円柱凸型については出っ張りの寸法で80°までの特性は理想的な特性まで調節可能。

まともな設計開発者であれば、ここで考えるわけです。円柱凸型であれば、平板アクリルをレーザーカットすれば仕上げも不要で綺麗な仕上がりを望めるし、そもそも特性もなかなかによろしいではないか。おっと、ここで忘れちゃあいけねえのが3.球面型のデブリを減らせる特性です。これはメリットです。
そういうわけで、試してみました。4.球面型+凸型、グラフでピンク。

DiffType4.jpg

どうよ、これ。よろしいではないですか。とっても。ま、実際は1.3mmを出すまでにそれなりの数の拡散板を製作した背景はあります。(製品版はあと0.05mm刻みで理想を追ってます。)

まだ拡散板ネタはしつこく続きます。が、次回に。

日本環境計測国産部門担当HK
http://www.environment.co.jp/


posted by EMJ-TM at 18:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記