2013年10月07日

フォトダイオード日射計

フォトダイオード日射計

先の記事で、既存のフォトダイオード型日射計の問題点の解説を行いましたが、今回は、その続き。

アクリルの拡散板は、PTFEの拡散板を作ったら解決しました。以上です。本当にそれで以上なんです。何故かというと、紫外線劣化無し、酸やアルカリの劣化無し、吸水率0%、もはや何も問題を起こさない物質です。一点のみ、物性に過度な特徴があり、そこのお話は後ほど。

もう一つの波長応答特性について、Si日射計の中身、Siフォトダイオードは図のような波長に応じた感度が代表的です。

sisensitivity.gif
参考までに晴れ、くもりの時のスペクトルも表示しています。Siは300から900nmにかけて感度が上昇し、その後1100nmにかけて上昇するという特性を持ち、太陽光線は500nmをピークに山形となります。晴れとくもりのスペクトルの大きな違いは900nmあたりで分割でき、900までは晴れの方が相対強度が高くなり、900以上は低くなるという性質を持ちます。

この事から、Siを使うと晴れと曇りでオーバーオールのスペクトル感度が変わってしまうため、誤差が生じ、「熱電堆式の方が感度がフラットなので、その誤差が小さい」という表記は「Si日射計+スペクトルエラー」とか「シリコン日射計+スペクトルエラ」と検索すると、20000件以上(日本語だけでもね。ちょっと異常。)、同じ事書いてるねえという事が解ります。一体何人がコピペした表現なのか?驚きです。なんか理由があるんだろうか?

つまり、先のISO9060では受光波長域がSiは狭いとされ、感度のスペクトル強度を見ればフラットでないからダメ、そういう事になります。ただ、そんなことは百も承知、それ以外のデメリットが無いという部分に着目するのが今回の開発です。しつこくいきましょう。

ここで可能性を考えてみます。波長範囲はどうにもなりません。物性ですから。一方、感度がフラットではない、というのは調整できるか?できますねえ。PAR作るときには、そんな技術は基礎です。

で、そういうことを行なうとどういう結果になるのか?
誰もやってないので、解りません。

ではやってみましょう。その結果がこちらです。

晴れ
compariClear.gif
くもり
compariCloud.gif

PROTO1がカスタム品、PROTO2がスペクトルをいじらないタイプ。基準はCMP21(50万円超え)の通風ファンが無い仕様のもの。インターバル5分、平均化10秒の条件。

なんだかとってもあっさりと、しかしまあまあ良い結果と言えるでしょう。

本当は、ここから先の調整をやりたいと思っていたんです。しかしながら、開発しているSi日射計がスペクトル以外にエラーの要因が無視できる所まで完成させているため、逆に熱電堆式のエラーの要因の方が数多くなってしまうため、ここから先はどっちが正解なのかが良く解らないという問題が出てきてしまいました。特にゼロオフセットエラーは、ISO9060では通風ファン付きの条件で、って書いてあるし、じゃあ、ファンがないとどの程度出ているのかとなると、そんな論文は見あたらないし、というわけです。

唯一数字が上がっているのは、±7W@200Wファン付き時って書かれている数字だけ。でもそんなのはきっと200Wの時だけ出るって意味じゃないし・・・。

行き止まり。ですね。

しかし、これだけでは、なんだか残尿感しか残りませんねえ。なので、積算日射量という概念に逃げてみます。

それ、何?という方も多いと思われますが、文字の通り、日射の積算した値です。どうするかというと、記録したデータを全部足して、プロット数で割って、平均値を出し、それをプロット数だけ掛けて、以上です。ただ、WではなくJを使うことの方が多いので、これに60×60×1000します。

するとこうなります。
comparisigma.gif

結果として、もうこの程度のエラーは現場では本当にどうでも良いですね。Siのスペクトル感度の最適化は、効果があるとの判断もできるし。

実際のところ、ガラスドームが汚れたら、この程度は直ぐに出るエラーです。鳥の糞は何故かよく命中するんですけども、そういうときはこんなもんじゃあないです。

こういう流れと理由から、これ以上の評価は出来ないと判断しました。ただし、チューニングの継続はやっていこうと、実際継続しています。

ただ、今回は20000件という数字がとっても心に引っかかりました。英語では7000件未満程度なので、人口比ではもっと異常な値。日本人はそんなにフォトダイオードがキライなのか?と。じゃあ、SIの良いところを記載しても多勢に無勢なので、問題なく言い放題じゃないのと思いましたので、次回はそういう部分を遠慮気味に少しだけ。

なぜ遠慮しなければならないのかというと、世の常で、多勢に無勢な場合、無勢側は理屈抜きでボコボコにされてしまう運命だからです。これは人間の本能であって、理屈じゃなく、アカデミックな場所であっても普遍だからです。

しかし、2万件のリンクをたどると徐々に本音が見えてきますね。フォトダイオード型はサーモパイルに比較してこういうだめなところがあるので、後者を買ってね。という脅し文句ですね。これは。ただのセールストークで、真意は高いほうを売りたいだけというのが本音でしょう。そんなのにつきあっても時間の無駄。忘れましょう。

次回は、上記のグラフや計算結果は、熱型が持つ問題が表面化しているとも言える部分についてのお話です。


日本環境計測国産部門担当HK
http://www.environment.co.jp/

posted by EMJ-TM at 11:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記