2013年10月25日

日射計PARセンサーなどの水平器と水平出し作業が招くしみじみとした日暮れ

日射計PARセンサーなどの水平器と水平出し作業が招くしみじみとした日暮れ

「おたくのね、PARセンサーを使ってるんだけど、これ、3本のネジで水平出し、2本の付属ネジで固定って書いてあるじゃない?それ、やり方がわからんのよねえ。あと、なんで先がとがってんのよ?危ねーじゃねーか。そんでもって、これ、抜けねーぜ。どうなってんのよ。」

意外な問い合わせである。本心はね、見りゃ解るだろ、そんなもん。と思うのだけど、やっぱりねえ、そうとは言えず適度に解説を始めるわけです。結果、20分を消耗してしまう。

ウチの製品を買ってくださる方の大半は、「よく解っている人」なのを良いことに、「そうでない人」、もしくは「これからそうなろうとしている人」、もいらっしゃるはずで、そういう事を確かに忘れている事があるなあと実感させられました。その理由で、このタイトルです。

光関係の測器には水平を確認するものが最初から付いていたり、オプションで付けたり、という違いはあるけど、なんらかのそういうものが使われています。名称なんか知らなくても、その使い方や意味は見ただけで明確なので、気にしてないのが普通ですし、詳細を知る必要は全ての人に対しては無い、と思います。が、せっかくなので、正式名称を公表します。

「丸型アイベル水平器」と呼ばれています。

無駄に学べますねえ。僕も買うまで知りませんでした。割と色んな用途で使われておりますけど、例えば昔のレコードプレーヤーの高級品、最近でもCDプレーヤーの水平出しに使う方も居ますし、(どっちもマニアですね。)、もっとメジャーなところではカメラの三脚に使われてますね。

色んな仕様の物があるので他社製品には当てはまらないのですけど、弊社の光センサーに装備されている水平器の仕様は以下になります。

外径 φ12mm
高さ 7mm
材質 アクリル
感度 R114
液色 無色
基準 底面基準

もちろん「国産の」特注品です。何故国産を強調するかって言うと、さかのぼること5年ほど前、中国製をただ安かったという理由だけで採用したときに、液体が全て蒸発してしまったという痛い目にあったからです。なんとその確率は1年以内55%以上、2年以内100%という素敵な数字を記憶しています。この蒸発は、屋内保管であっても生じる現象だったのは忘れもしません。この理由で、海外の部品は、致し方なく使うしかないとき以外は、決して積極的には使わない決心をしたのでした。

普通は気泡が中央にくるようにセッティングして、固定する。それだけ考えておけばよいのです。ただ、たまに調整が難しいときがあり、例えばタワーの上に設置したら、タワー自体が風で揺れるもんだから、日射計の水平も当然ながら定まらないって場合などに出くわします

こういうときは現実を鑑みて完全な水平をあきらめるのですが、ここまできてやっと浮かんでくる心配事があり、一体何度のエラーが生じているのだろう?と、やっぱり思うわけです。そして家に帰ってからもそのことが気になって眠れず、かつ、そういうわけわからん事で悩んでいる自分が許せない、なんて気分になるのは健康によろしくないのです。ここで白黒つけましょう。

まずは、水平が出たときの気泡の位置。ど真ん中です。極めて理想的。
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次に0.5度の傾き。赤い線と気泡の外周が重なったところになります。
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次に1.0度の傾き。気泡が1/3赤い線からはみ出たところになります。
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これが上記仕様の感度R114の場合の見た目と角度です。ついでに言うと、1.0度を超えて更に傾けても、気泡が素直な動きじゃなくなります。それはレンジが狭いんでないの?と思うかも知れませんが、実はここには設計者からのメッセージが込められていて、「性能を出し切るには1.0度未満の調整をお願いしますね」と言っているのです。

もう少し正確に表現しますと、「こっちゃあねえ、入射角特性を結構努力して向上させてんだから、そりゃあ、涙ぐましい時間を過ごしただけのことはあるってなもんよ。だけどね、最後の最後に設置が甘いと、全て台無しにしちまうってなもんだ。そういう事なもんだから、どうか、どうか、せめて水平±1度未満には調整しておくんなまし。」となります。

実際の目標値は、赤い丸の中に収まっていればOKと考えてください。僕のようなマニアはひたすらど真ん中を目指します。

さて、その調整はどうやるかというとですね。コッチの方が案外知れ渡ってないかも知れません。適当にねじ回してみれば案外それで出来たりしますから。

図示します。
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例えば、オレンジを右に回すと気泡は左上側に動きます。他の色も同様です。こうなる理屈は、ネジを右に回すと、回した分だけネジが底から出っ張ります。その部分が持ち上がるわけです。そうすると気泡は上に行こうとする。たとえば、写真の状態の気泡を真ん中に寄せようとする場合には、黄色を右回しする、が正解になります。

一番大事な事は、気泡は上に行こうとする。これです。調整時は気泡になった気分でネジを回してみてください。不思議と、とっても素直に動いてくれるはずです。どこまで気泡になりきれるかが勘所です。

さて、水平器と水平出しの手順が理解できたところで、弊社の水平出し用のネジ3本の先は何故とがっているのかについて、まずは現物確認を
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こんなものです。
次に図解しましょう。上図が普通のM4ネジを使った時、下図がとがり先M4ネジを使った場合です。
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普通ネジの場合、ネジの半径2mmだけ支点が動いてしまうことが解るでしょうか。そして、この支点の動きは気泡が中央付近に近づくほど頻繁に、いきなり生じる特徴を持ちます。

この動きが実にやっかいで、実際に操作してみると、「あとちょっとで気泡が真ん中に来るねえ。終わったら一息入れるか。」と比較的安泰な気分になりつつある時なんですけど、そのとき、ほんの少し、ほんの少しだけネジを回すと、気泡がグワンとまるで音を立てたように大きく動き、んおっ?という気分になってしまいます。

一回目は良いんですよ。んおっ、となるだけだから。しかし、その後も同じ事を繰り返してしまうことになるのが常で、最後は、「もういいや。この辺で。やるだけのことはやったもんね。」か、「日頃の行いが悪いのかなあ。まあいいや、今日はひっそりと一人で飲みたい気分だな。こういう場合はカウンターがいいかなあ。」か、「なんだコノヤロウ、喧嘩売ってんのか?テメーっ。上等じゃねーか。表へ出ろ。」となるか、その辺の、つまりあまり良い気分では無い、空虚で、次にあきらめて、しみじみとした気分になります。そして気がつくと空はもう夕暮れ時。もうたそがれるしかない。

そりゃあそうでしょう。水平を出す目的の装置が水平を出せない装置になってしまっていて、それを見抜けず買ってしまったことが原因だから。

そして、一番の問題は、気泡は傾いたままというオチ。
でもそれは「あなた」のせいではなく、「ねじ」が悪いと断言します。

では、とがり先ネジを使うとどうなるか。実に気分が良く、短時間で完了できるわけですね。そんで気泡は真ん中に来る。支点が動かないからです。

そしてこのとがり先ネジ、実は旋盤で、一本ずつ切削加工して製造しています。なので、見た目より高価な部品。そうすると、こういうネジは是非とも無くしていただきたくない。そういう思いから、ネジが抜けないように設計しています。抜こうとするとネジ頭が遮光リングに干渉する設計なんです。こんな按配。
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こういう理由があるので、イジワルでそうしているわけではないことを、どうか解ってください。

日本環境計測国産部門担当HK
http://www.environment.co.jp/
posted by EMJ-TM at 11:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記