2008年06月12日

PR2の校正とキャリブレーター

PR2の校正とキャリブレーター

デルタT社の製品を取扱い始めて約2年が経過しました。ここの土壌水分関係のセンサーは、頑丈で、精度が良く、かなり気に入ってます。(じゃないと販売できませんもんね。)

さて、土壌のプロファイルを計測するセンサーでプロファイルプローブPR2/4やPR2/6と言うのがあります。

こういうの
Profileprobe.jpg

このセンサは弊社が販売開始してからさほど売れてないのですけど、その理由に、1.既に沢山出回っている。2.前モデルのPR1の悪評がつきまとっている。が挙げられます。

1については、これはどうしようもないです。

2については、弊社ではPR1を販売したことがないので、なんともしようがないのですが、せめて出来る範囲でという事で、一時期、PR1 to PR2アップグレードキャンペーンを実施しました。

こういう流れから、弊社が販売した訳じゃないのに技術的な問合せや、修理の問合せが増えてきています。(なんで?)

どんな機械でも長年使用すれば、そりゃあ壊れることや、不調になることはあるものです。

しかしDeltaT社の土壌関係の製品では他機種ではほとんど修理の案件が皆無なのに、このプロファイルプローブについては問い合わせが多い事が経験的に解ってきました。

マイナーな、例えば、コネクタの接触不良やどこかの断線などは、まあ普通の機械並みという頻度ではあります。しかし気になったのが、PR2(PR1じゃない)を使っていても、調子が変、計測値がおかしい、といった案件が比較的多いのです。

そこで、弊社ではその対策として校正装置を作りました。正規輸入販売代理店だし、このくらいはやってもおかしくないでしょう。

問題点は、1mものプローブを均質な水分状態にする点です。どんな土壌を使用しても1mもの高さに積層すればその粒子の密度は重力によって分布してしまいます。横挿しではどうかというと、それでも重力で時間経過と共に同じ事が起こるでしょう。

過去の論文を調べましたら、森林総合研究所発行の
Kyushu J. For. Res. No. 55 2002. 3
「2種類の土壌水分計のキャリブレーション」小林 政広 酒井 正治
という論文が大きなヒントになりました。

良い点は、
均質な含水率のサンプルを作り出せる
挿入箇所の違いや挿入回数の影響を受けにくい

つまり、
土壌水分計の個体差チェックが可能
製造したサンプルの体積含水率が既知で有れば中間値を用いたキャリブレーションが可能

となるわけです。

何故にガラスビーズが良いかと言いますと、
水より十分比重が高い、水に浮かない。
粒径を整えやすい、これは粒径を指定して買えばよいだけ。
十分に固いので、積層しても密度分布が生じにくい。
導電性がないので、誘電率に影響しない。

なんと、プロファイルプローブの校正用サンプルにぴったりじゃないですか。

で、直ぐに材料屋さんに電話して、「ガラスビーズ150kgください。粒径これこれ・・・・。」

「はい、今日発送します。」

「??えっ、在庫って有るんですか?」

「もちろん。500kg常備です。」

「・・・・。」

驚きを隠せませんでした。

2日後に到着。思ったより、こういうものって、早く着くのねえ。

できたのが、こういうものです。

PR2cal01.JPG

水道の蛇口の近くってのがポイントです。

真ん中にプロファイルプローブ用のアクセスチューブATL1を挿しています。

PR2cal02.JPG

重量があるサンプルなので、アクセスチューブはなんの支えもいりませんでした。固定方法、悩んだんですけどねえ。挿す前に。

作った後で気が付いたんですけど、これ、すごく重いです。約150kgのガラスビーズと水と巨大な塩ビパイプですから、総重量は300kgを越えます。

見ての通り運べません。多分あんまり使わないので普段はとても邪魔です。それと、材料費が結構な金額になります。

ここで、既知濃度を計測する必要があります。ML2xシータプローブの出番です。このセンサは、比較的まともな価格ながら高精度なセンサで有名なものです。

沢山測っての計測結果は40.8±0.2%VWCです。安定した計測を行うにはセンサー根本付近にガラスビーズが十分入り込むようにという配慮だけは必要です。

丁度、本州のお客様から校正の依頼があったので、遠い英国まで送り返すことなく、PR2/6の校正を実施できました。

約2年ほどご使用になられたとの事で、確かにかなりずれており、6個のセンサーは±8%VWC程度、バラツキがありました。

校正は大気中で水分が無い状態でゼロ校正、今回作ったキャリブレーターでスパン校正を行います。

ゼロ校正時にもアクセスチューブに挿して実施することは大事な事です。

普通の水だけの状態でスパン校正やればいいじゃない・・と思う方も多いかも知れませんが、100%VWCの状態ではPR2の出力は1Vを越えてしまい、校正曲線が使えないエリアに突入してしまうのです。

そもそも誘電率を使う場合、その推奨範囲は100MHzという周波数を持ってしても、せいぜい50%程度まででサチッてしまうでしょうし、それ以上のセンサ出力を校正式に反映してしまうと、実用範囲の精度が落ちてしまいます。これはもったいない。

一応、弊社で有償にて校正承ります。

弊社で買ってない?

そういう細かいところは気にしません。田舎者は。

ただ、この装置、たまにしか出番がなさそうなので、既に持っているPR2を弊社に持ち込んで、「自分で」やってみたいという方がいらっしゃったら使って良いですよ。

沢山のセンサーを持っていたり、そろそろ校正したいなあという方は多いと思いますし。

問題は弊社の所在地です。地方なので、ほとんどの方には遠いかなあと思います。

使用料は・・・・・気前よく無料です。(ただし、上記「自分で」が重要。仕事の時間を使わせないでください。)

おみやげなんかは歓迎します。(決してMUSTではないです。)

日本環境計測国産部門担当HK
http://www.environment.co.jp/
posted by EMJ-TM at 17:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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