2016年02月02日

解っている方しか買わない・使わない土壌水分計

解っている方しか買わない・使わない土壌水分計

WET2センサーという名の土壌水分センサ。多くの方が目にしたことも無く、買ったことも無いセンサーだと思います。実際そのくらい売れないセンサーです。そして、多くの場合、買ってくださるのはリピーター、もしくは、そのお友達のみという不思議なセンサーでもあります。

WET2.jpg

さて、この二つの事実から解るのは、仕様を理解している方にしかこのセンサーの需要は無く、逆に解っている方にはこれしか選択肢が無いという、そういうポジションになってしまったセンサーです。(どおりでなんか気になるわけですね。どっかの会社みたい。)

とは言え、品名から解るように、元祖はWETセンサーという名前でした。そしてWET2に変更になるほどのロングセラーでもあります。少ないながらごく一部に需要があるわけですね。

では、どうしてそういうポジションになってしまったのか?このセンサーの大きな特徴は、体積含水率VWC、温度Temp、塩分ECの3パラメータが一気に測れるということ。しかし、これは表向き。実は、この3パラメータすべてについて、センサー毎に校正を手動で実施し、出荷しているということの方が実は重要な特徴です。VWCだけとか、そういう個別校正を行ったセンサーは少々ながら他にもあります。しかし、3パラメータを全部人間が校正というのは別格です。

VWCと温度については、よほど変なセンサーで無い限りはまあまあどのセンサーでもそこそこの計測が可能です。しかし土壌のECについては、多くのセンサーでは当てにならない値を出すことが多く、このWET2くらいしか全うな出力を出さない現実があります。その差は何かというのが上記、個別校正ということになります。

一方で、ECのみの計測で何かものが言えるのかというと、それはとても困難で、EC、温度、VWCの3パラメータが全部そろって、ようやくECが語れるんです。逆も言え、VWCをきわめて正確に計測しようとしたとき、塩分を含む土壌が前提であれば、ECを計測しないとVWCの計測の補正ができないという事情もあります。この辺の事情はとても深く、土壌物理学会でも年配の方しか議論しないエリアです。物質の誘電率、その温度係数、他云々がスタートの話です。

まとめると、養分、ECなどのパラメータが土壌側に加わるだけで、VWCの計測はかなり厄介になる、その場合、十分なと言える精度を確保しようとすると、個別校正しか道は無いとの判断を行なったのがWET2。ということになります。

一方、養分、EC濃度が特に高いわけでもなく一般的といえる土壌では、こんなセンサーの出番は無いわけです。ですからそういう環境ではECなんかむやみに計測しなくていいんです。

こういう流れで設計、仕様決定がなされたセンサーなので、そりゃ解る人、特定用途で使う人、意外は用がないですね。とどめにセンターピンの内部に温度センサーを組み込んでしまったもんですから、組み立て作業もあきれるほどめんどくさいです。でもね、応答速度を考えると理想的なので、そうしているのです。

さて、このセンサー、一点設計が甘いところがあります。ケーブルがニードルの反対側中央から出ています。ここがやっかい。他のプローブもだいたいこんな配置でケーブルが出ているんですが、胴体を持ち易くできているので文句は無い。

一方このセンサーの形状は実に持ちにくく、HH2(ハンディ読み取り器)と組み合わせて多点の計測を行なうときは特になのですが、挿入時にケーブルを曲げる力が同時に加わってしまいます。そして最後は断線します。写真のように持って土壌にさせるわけが無いんです。DSC00612.JPGDSC00614.JPG

その対策は、5年ほど前から弊社で行なうことが可能です。対策方法は写真を見れば一目瞭然ですね。ただ、そもそも売れないこのセンサーの場合、その対策を喜んでくださる方がいったい何人いらっしゃるのかって疑問が当然出てくるわけですが、現在のところ40人超えたくらいなのかなあと思います。激しく少ないですねえ。

日本環境計測国産部門担当HK
http://www.environment.co.jp/
posted by EMJ-TM at 18:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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