2016年02月08日

プレヒートって何?

プレヒートって何?

MIJ-01データロガーの販売を開始して1年弱ですが、その間にいろんな質問に対応してきました。そんな経験からこちらが勝手に一般的と思っていたことでも、そんなことは無いのだなと思える事項に気が付いたことも多々ありました。
MIJ01pic.gif
そのひとつがここで解説するプレヒートでした。もともとの語源は定かではないのですが、Pre Heatという二つの英単語であり、予熱って意味だと推測します。センサーに対してというのは間違いないので、センサーの予熱という意味だったんでしょう。こう表現すると、センサーにヒーターが入っていて、そのヒーターの予熱を行なう機能という解釈ができ、しかし、一方で、現在ではヒーターが内蔵されていないセンサーでもプレヒートというシーケンスを使っているわけで、初心者では、もはや、何のことやら・・・? わけわからんことをこのおっさんは言ってるなあ。となるのは当たり前ですね。で、おっさん側も同様に、何故意味が伝わらない?と途方にくれるわけで、話が進まない。

なので、もう、ここで、なんの権限も無いのに、勝手に定義してしまいます。

元々の意味は予熱。なはずなんですけど、現代における意味は以下が加わった、どっちかというとこっちのほうがメインかなと思えますので、こう定義します。
1 センサーの応答速度だけロガーの読み取りを待つ時間。
2 センサーをなるべく短い時間の運転に抑えることで、電池を節約する。
3 諸々の理由で、間欠動作をしたほうがよいセンサーか、パラメータである。

1は一般的にはセンサーの仕様書に書かれています。応答時間、応答速度、Response timeなどの単語で表現されている時間のことです。たとえば、それがX秒って書かれていたとして、それでも、その意味は2つに分けられます。一つは電源を入れてからX秒後に出力が出る。これはマイコン内臓のセンサーに多い表現方法で、センサー内部で積算平均や移動平均他、なんらかのノイズフィルターとしての演算処理を行なっているセンサーの場合です。あとはマイコンの立ち上がり時間がかかるとか、そういう意味も総合しての応答速度です。もう一つは、単純にセンサーの応答が鈍い原理であるときもそういう表現になります。

この話はわかりやすい例として、湿度センサーなんかが挙げられます。湿度というパラメータはよくある原理ですと、感湿膜(って大げさですが、水を吸って吐く素材ってだけです。)に水蒸気が平衡したときの容量変化を電気的に感知するわけですが、ここでいう応答速度は二つに分け易いです。乾湿膜が接触している気体との間で平衡に要する時間Tr、その値が積算平均化され、ノイズが少なくなるまでの時間TRの和が全体的な応答速度T(Tr+TR=T)という解釈です。よく出来た湿度センサーはそもそもTrがやたら早く、平衡状態が安定しているのでTRも少なくてすみます。例としてHMP155Aなんかがそれに該当します。このセンサーの場合プレヒートはT=0.1秒で十分です。また温度出力もT=0.1秒で事足ります。一方、HD9817なんかはT=1秒。温度もT=0.5秒必要です。総じて、応答速度というのはセンサーの種類、同じパラメータであっても機種によって大きく異なるという事実を認識しましょう。そして、その起源がマイコンの演算処理に関する時間、ノイズフィルターである場合には、計測値がものすごくおかしな記録になる可能性があるので、特に注意しましょう。

続いて2の説明。上記2種のセンサーを使ったとして、消費電力がどの程度違ってくるかを考えます。たとえばそれぞれ8個接続したときの差を考え、かつ外部電源を接続せず、アルカリ電池4本のみで動かしたMIJ-01データロガーを使った場合を見てみましょう。レンジが広いのでシングルエンド接続で十分、温度と湿度の2chアナログが1つのセンサーから出てきますから、8個だと16chを使います。インターバルを10分としましょうか。インターバルが10分というのは10分に一回データを読んで記録するという意味を示しています。

HMP155Aでは全チャンネルが0.1秒ですから16chの読み取りに1.6秒かかります。その時の電池が持つ日数は178.6日。

HD9817では湿度が1秒、温度が0.5秒、16chの読み取りに12秒かかります。その時の電池が持つ日数は51.4日。

結構大きな差が出ますね。注意として、上記2種のセンサーは同じパラメータを計測するという意味では比較が出来るのですが、価格が2倍以上の差があるのも事実なので、一概に後者が悪いという表現ではないです。なんでも良し悪しです。

3について、土壌水分センサーで説明しましょう。サンプルが同じまま、つまりセンサーを埋設しっぱなし、かつ常時電源入れっぱなしで土壌水分センサーを使ったとします。妙なことが生じます。塩分の析出です。TDRやADRその他、高速度で発振している測定方法の場合に生じる現象ですが、センサーの周りに塩分が析出、というか集まってくる現象があり、その場合、センサー近傍の塩分濃度が妙に高くなってしまいます。そうすると塩分濃度の変動が測定値に影響して、正しく計測したとはいえない値になっていきます。

こういうのをセンサー毎にいちいち確認するってのは、めんどくさいですね。なので、この辺のセンサーの都合や、計測原理の都合から、あとは経験値という塩コショウをフリカケテ説明したのがこちらのページになります。

http://www.environment.co.jp/product/Logger/WiringandSetting.html
基本的にはMIJ-01を使った前提で作文していますが、その他のデータロガーを使っている場合であっても、参考になるでしょう。

こういう3つの理由と、そして、本当に予熱が必要な例として、ガス分析計、ガスセンサーなんかは光源やディテクタが本当に予熱の意味が大きく、ものによっては電源投入から30分は予熱運転が必要なものも多々あります。ただし、ここまで長い時間は待てないので、通常は常時電源入れっぱなしで使ううべきという判断になります。無理やりこの例も入れて、合計4つの理由で、データロガーとセンサーを組み合わせて使う場合には、このプレヒートという動作を理解していただくことは、なかなか大切なことなんです。

日本環境計測国産部門担当HK
http://www.environment.co.jp/
posted by EMJ-TM at 17:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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