2016年03月28日

デンドロメーター MIJ-02弐型

デンドロメーター MIJ-02弐型

昔々、ストロークが150mmもあるデンドロメータを作った経験があります。振り返るとこのときは若かった。リニアエンコーダの全長が200mmほどあり、それを全部防水ケースに入れてしまう必要があり、エンコーダそのものにはバネの機能が無いので、外付けで装備、ワイヤーをエンコーダに固定、ワイヤーを反転する必要が出てプーリを装備、空いた隙間が広大だったのでデータロガーを内臓、エンコーダがシリアル出力しかなかったので、DA変換基盤を装備。スペックシートはすばらしかったけど、実際、そこそこの大きさの箱になるので、樹幹に装着する手間がとても大変というシロモノでした。2009年ごろのお話。

話は飛び、2016年2月末(つまり先月)に、とあるお客様からの要望の連絡が入りました。予算はこれだけ、必要なデンドロメーターの数はこれだけ、分解能は1μmは最低でも欲しいね。でも測定レンジ20mmは確保してね。おっと、ついでにロガーも欲しい。最初から解っているのは、この予算でこの数だと、簡単な掛け算と足し算の結果、輸入品のデンドロでは購入は明確に絶望的なんだけど・・・。値段はともかく、そもそもレンジが11mmしかないわけで用を足さない。オプション指定したとしても15mmなんだから、だめよあれは。だいたい装着するのがとっても難しいわけでさ、なんであんな構造にするんだろうねえ。ワイヤーの巻き方、あれ、なんとかならんの?幾何学的な誤差も気になるじゃないの。

問題はいつの間にかすり替わり、買えない物に多くのケチをつける方向に行ってしまってます。通常なら、よくぞここまで言いたい放題言ってくれるでないの。この時期に。知るかそんな話、頭冷やせ。だいたいあれは輸入品だし、僕が作ったものでもなく、それに言いはしないけど、ウチが売ったものじゃ無いわけでね・・・・・反論はたくさん出来ますけど、それ言っても何の生産性も無いわけで、そもそも誰かに文句を言いたいだけで言う相手がいない、ってことなのは良く解る。

ただし、こちらの事情と一点だけ合致している話です。「デンドロメーターは、いつか作り直さにゃならんなあ」と漠然と思ってはいたのです。今回の話はその良いチャンスでもあります。要望を全部満たせば確実に買ってくれるという単純な話でもあるのです。いつの時も考え方次第で意味は変わる。しかも都合が良いほうに。

「よっしゃ、おまかせを。」

言っちまいました。この段階で何のアイデアもなし。納期は3月末。そして、このとき2月25日夕方、そこそこ晴れ。そろそろ腹減ったってころ。さらに、他に年度末制限の案件が3件。うち設計関係が2件。連日ちょこちょこと納品、出荷が続く日々ってころ。条件は良くは無いですねえ。

我ながらアホだ。

さて、まずは、物性値の資料を開き、CADソフト開き、なんとなく絵を描き始めます。何でだろう?なかなかスムーズに進む。

3時間後、だいたい出来上がり。おっ、デンドロに要求されるいろんな問題を解決できた手ごたえを感じる。いつものように、その図面に反論を試みるものの・・・・出来ない。いいでないの。

これ、たまに経験するあれですね。昔やった仕事、昔できなかった仕事、昔やったけどなんかの課題が残った仕事、そういう案件で起こるあれですよ。人間の脳は勝手に考えるという経験が何度もあります。課題さえ認識させておけば、自動的に答えを出そうとするみたいです。人間の脳って。多分これは僕だけじゃなくって、人間誰しもそうなんじゃないのかなと思います。

ただし、いつ答えや正解が得られるかが能力次第なんだろうなと思いますけど、今回の案件では、だいたい7年ぶりの同じ課題ですからねえ。能力は低いことも証明されてしまった。

もちろん、設計だけ終わっても物は出来ないわけで、部品の調達、加工屋とのやり取り、それぞれの納期、および組み立て、ということになるので、それから3週間後の3月18日に無事出荷となりました。めでたし。

MIJ02_2Dndr.gif

そして、この特注品、上記の我侭がことの始まりなので、安価な価格設定になります。知り限りでは電気式デンドロメータでは世界一安価なものなので、日本の研究者の強力な武器になるはずです。

分解能は0.1μm、測定レンジは29mm。自分でも気に入りましたので通常取り扱い品リストに加えます。正式な販売開始は2016年4月です。

DNDR2.jpg

詳細はこちらで確認ください。
http://www.environment.co.jp/product/prdct.html#Anchor738944

日本環境計測国産部門担当HK
http://www.environment.co.jp/
posted by EMJ-TM at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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