2017年05月31日

Delta-T (デルタティー) 社製の土壌水分センサーのメンテナンス

Delta-T (デルタティー) 社製の土壌水分センサーのメンテナンス
対象機種ML1, ML2x, ML3, SM300, SM150, SM150T

Delta-Tの土壌水分センサーとは、20年ほど前ML1から始まり、現在も世界中で、特にリサーチユースの方面で愛用されているわけですが、購入から10年以上ずっと使い続けていらっしゃる方も多く、極端な例では18年以上使っている方もたまにいらっしゃることも見受けられる製品です。

長期間使い続けている方の多くは、弊社に数年に一回メンテに出してくださることが多く、この場合修理、校正という内容を含むことが多いのですが、一方で修理というわけでもなくメンテナンスで完了することも多々あります。このメンテナンス部分に限っていえば、ユーザー自身で実施できる可能性が高く、しかしユーザーの性格、技量によっては不可能な内容でもあり、方法をお教えするかどうかは悩ましいところでした。

人によっては「メンテナンスしなければいけないのか?」と解釈する方もいらっしゃいますが、「メンテナンスが出来るのはいいね」と解釈する方もいらっしゃるわけで、ここは設計段階からの思想の違いですから、前者の方はそもそもこういう設計思想のセンサーは買わないほうが良く、使い捨てを買うほうが良いでしょう。

今回は、このメンテナンス部分のみをユーザー自身で実施して頂く為の情報を開示します。写真と説明を良く見て、理解して、じっくりと取り組んでいただくときっと成功します。コレ読んで全く無理そうって感じた方は、やらないほうが無難です。弊社に送って有償で実施してください。

<1.メンテナンスの周期>
ずっと使い続けている、つまりずっと地面に埋めっぱなしの個体の場合で2年に一回、時間があれば1年に一回実施する程度の頻度で構いません。

<2.分解前に>
センサーを流水やバケツの中でたわしを使い良く洗浄してください。コネクタに水が入っても構いません。洗浄後、エアダスターやコンプレッサーからの圧縮空気でエアガンを使うなどの方法で十分水分を飛ばしてください。

<3.使用する道具と消耗品>
以下の道具を準備してください。
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対辺2.5mmマイナスドライバ
対辺5mmマイナスドライバ
No.1プラスドライバ
はさみ
温度計(60度近辺が計測できれば十分。精度はだいたいでOK)
1L程度のビーカー(たらいでも可)
水とやかん
ブレーキパーツクリーナー
バキュームグリス
キムワイプS-200
エアダスターもしくはエアガン
お茶パック(100均ので十分)
シリカゲル(B型、できれば全インジケータ)
ヒートシーラー(これだけはなくてもなんとかなる)

<4.分解>
筐体のニードル側にネジが3本あります。これを全部抜いてください。
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対辺2.5mmマイナスドライバを隙間に差込み、回転させますと1mm程度の隙間が出来ます。
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この隙間に対辺5mmマイナスドライバを差込み、ドライバをひねり、2mm程度の隙間を作ります。この2mm程度の隙間を全周にわたって3〜4箇所作っていきます。そうするとあるときスコッと抜けます。基板とコネクタはケーブルで結合されており、引っ張った勢いでケーブルを破損してしまうことがあるので、勢いが付かない程度にゆっくり引っ張り出してください。
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中身は基板、プラスチックのプレート、シリカゲル、Oリングが入っています。Oリングの取り扱いは特に注意します。Oリングを外すときに爪を使ってはいけません。指の腹で傷をつけないように配慮しつつ、抜いてください。
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<5.お茶パックを使ったシリカゲルバッグの工作>
分解して出てきたシリカゲルの大きさとだいたい同じ程度のバッグを自作します。お茶パックをはさみで切り、ヒートシーラーで成型して作成してください。ヒートシーラーを持ってない場合はお茶パックに新しいシリカゲルを入れ、くるっと巻いておくだけでもいいでしょう。ようはシリカゲルがセンサーの中で暴れなければそれでいいです。シリカゲルは5g入れてください。全インジケーターのシリカゲルを使う理由は次回のメンテの準備です。どの程度シリカゲルが吸湿してしまったかの判断が次回以降可能になります。
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<6.メンテナンスその1 清掃>
Oリングが勘合する箇所を特に入念に清掃します。パーツクリーナーをキムワイプに吹きつけ、筐体が勘合する付近つまり筒側とニードル側の両方を満遍なく1周きれいに清掃します。
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<7.メンテナンスその2 Oリングの清掃とグリース塗布>
外したOリングは通常ホコリや泥が付着しています。6で使ったキムワイプ+パーツクリーナーで良くふき取ってください。その後バキュームグリスを満遍なく塗布してください。多いかな?と思うほどの塗布がよいです。

<8. メンテナンスその3 Oリングのねじれ取り>
Oリングをニードル側の筐体へ装着しますが、このとき筐体にOリングをくぐらせるわけですから、多くの場合Oリングがねじれてしまいます。そのねじれは密閉性に影響するので、ねじれを解消します。バキュームグリスで滑り易くなっているため若干難しいですが、親指と人差し指の腹でOリングを強くつまんでOリングに緩みを与えてください。どうしても指の力が弱い人はキムワイプ越しにつまむと滑り止めになって良いでしょう。この動作を角度30度おき程度にOリング全周にわたって実施してください。滑り止めキムワイプを使った場合は最後にバキュームグリスを全周に塗布しなおしてください。
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<9. メンテナンスその4 組み立て>
ここからは分解の逆手順です。基板、プラスチックのプレート、シリカゲルの順番で重ねましょう。プラスチックのプレートは基板とシリカゲルを接触させない役割です。
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お茶パックの余白がOリングにかからないように注意しつつ、筐体のポッチ、これが位置マークなんですが、ポッチが合う場所に押し込んでください。
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ぎゅっと押し込むとさほど力は必要なく押し込まれますが、このときOリングで密閉していますから筐体内部の空気は圧縮されており、押し戻そうとする力を感じるはずです。
その力に負けないように勘合を保ちつつ、ネジを固定していきます。ネジは斜めにならないようにかつ、締めすぎないように注意してください。むやみに締めすぎると筐体のプラスチックが破損することがあります。
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<10. メンテナンスその5 密閉の検査>
水とやかん、温度計を準備してもらったのはこのためです。約60度のお湯を準備してください。65度くらいに暖めたお湯をビーカーなり洗面器なりに投入し、多少もたもたしていると60度程度になります。温度計を使って確認しましょう。

そのお湯にセンサーを丸ごと漬け込んでください。投入から1分未満の間に筐体の勘合部分から気泡が5個未満程度は出ることがありますが、その後気泡が出なくなり投入から2分間ほど気泡が出なければ合格です。気泡が出続ける、たまに出てくるという場合は失敗です。
DSC00761.JPG
出続ける場合、6に戻ってください。
たまに出る場合、8に戻ってください。

<11. メンテナンスその6 乾燥>
10で検査を終えましたらブロワーで水を飛ばします。特にコネクタのピン周辺は入念に水を飛ばしてください。その後1時間も放置すれば乾燥します。
DSC00762.JPG

<セルフメンテナンス>
このメンテナンスを慣れない方が10個もやるとさぞお疲れだと思います。特に10で振り出しに戻る作業になったらなおのことです。弊社にメンテのみを依頼した場合、状態によりますけど、3000〜5000円/本程度にはなります。その分の仕事をしたわけですから、多少は自分のメンテナンスにお金を使いましょう。うまい飯でも食べて良く寝てください。

日本環境計測国産部門担当HK
http://www.environment.co.jp/
posted by EMJ-TM at 16:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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