2009年07月13日

バラ線の半田めっき

バラ線の半田めっき

センサーをデータロガーに接続する作業って楽しいもんです。センサーの配線をよじって、ターミナルにネジで締め締めして、ロガーの設定、現地設置とそういう流れになっていく、作業工程一連の入り口です。今回は配線の末端部分のハンダ処理についてのお話です。

通常、というか、よく見かけるバラ線部分の処理ですが、指先でねじって、それでもって、以上終わりっ。ていうのが主流です。まあこれで本来は十分なんですけども、場合によっては、というより、弊社のお客様で多く見られる日焼けしてしまう観測サイトをお持ちの方々の場合、問題が起こる事があります。

機器が置かれた環境や使い方について、かなり荒っぽい現場が多いですから、長期間動作不良を起こさないという目的達成のために、ここで少しだけ手を入れる事をお奨めします。ハンダメッキです。銅線が直に空気に触れていますと、それはもう酸化という現象が生じます。銅の場合緑青が吹くというアノ現象です。で、結局接触不良に至るわけです。

さて、ハンダメッキというのは聞いたことがあると思いますが、要するに銅線にハンダをメッキしてしまうわけです。こうする事で銅線の酸化を防ぎます。ハンダが酸化しないかというと、それはします。しかし、銅ほど早くというわけではないところがみそです。あと、メッキせずに端子台に装着すると細かなバラ線のカスが周囲に落ち、それがよからぬ電気を通して、トラブルを招く事がありますが、これが防げます。

ニッパーとハンダ鏝を使って実施する事も可能ですが、ここではハンダ槽とワイヤーストリッパーを使ってみましょう。特にヘビーユーザーの方はこの2種の道具をそろえた方が、時間の節約になります。

1 ワイヤーストリップ
ワイヤーストリッパーの出番です。写真のようなその辺のホームセンターで売ってる工具を使うと、一瞬で終わる作業です。
handa011.JPG

こんなかんじになります。
handa001.JPG

ヘビーユーザー向けには自動ワイヤーストリッパーというものもあります。これです。
handa008.JPG

これの良いところはシースを写真のようにハンパに残せる設定が出来る事で、
handa009.JPG

この「切れてるけど残ったシース」を指でねじると、きれいに銅線のネジネジが出来てしまいます。で、最後に抜き取りするわけです。
handa010.JPG

2 ハンダメッキ
ハンダ槽の出番です。約350℃に加熱した槽があり、その中にハンダを放り込んでおきますと、ハンダの湯船ができあがります。
handa003.JPG

この辺でフラックスが登場します。液体で臭いがきつい物体です。これをハケでほんの少々、ネジネジ完了した銅線の先に塗ります。
handa002.JPG

ハンダ槽に投入します。メッキをしたい部分、つまりビニール被覆以外をほんの一瞬投入して引き上げます。
handa004.JPG

こんな具合に先が団子になるので
handa005.JPG


ニッパーで切り落とすと、こうなります。
handa006.JPG

最後に端子台に装着してできあがりです。
handa007.JPG

最後に、熱電対の場合、これはどう考えるかで結論が異なります。本当は2種の金属間で生じた微少な起電力を計測するというのが熱電対の真の姿(ペルチェと逆ですね。)なので、そこをハンダメッキなんてして良いのか?という疑問は当然あるわけですが、例えば、あるお客様の場合、ねじっただけで土壌深くに設置してしまい、その後、1ヶ月の間に不良率が50%を越えてしまって、結局何のために深く穴掘って設置したのか解らなくなってしまったことがあります。弊社担当のパラメータではなかったので関係ないと言えば無いんですけど、お気の毒にと言う他ありませんでした。

こういう事が起こるよりも、ハンダメッキでくっつけてしまえ、ってのが正解ではないかと思います。本当は、スポット溶接でくっつけて、そのあと、コーティングする方がよろしいわけですが、それはまた次回にでも。

日本環境計測国産部門担当HK
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2009年06月28日

ランバージャックへの道 パート2

ランバージャックへの道 パート2

前回から引き続きで、本日からは茨城県北茨城市にサイトに移動してきました。
ここは長期生態観察のためにつくられた歴史あるサイトだそうで、開祖みたいな所だそうです。
現・東北大の中静先生を筆頭にして始められた研究を20数年経っても若い研究者が引き続き、この地を利用して計測をされているそうです。
樹木は100年単位で結果が分かる位にスケールの大きな研究だと云われます。
この歴史を絶やさずに円滑に継続させていくお手伝いをするのも我々の役目の一つなのかなあと感じました。

さてここでの計測は木の直径の計測を行いました。
今回私は野帳マンを仰せつかり、巻尺とノギスで読み上げた数値を漏れなく記載する作業でした。まあ心優しいパートナーですこと“”
作業はそう困難ではありませんでしたが、山の強敵アイツが現れました。
蜂です“”スズメバチじゃないとは思うのですが、一歩も動けないですね。
猪とか熊とか山は怖いところです。
海で鮫に会う確率よかよっぽど多いですもんね。

数時間の滞在でしたが、小川は本当に綺麗な場所でした。
清流が流れていて野生のワサビとか三つ葉とかが生えてました。
ここで親子丼食べるのもどうかと思いますけど。
機会があればまた来てみたいと思わせる場所でした。
一人じゃよう行かんですけど“”

TMsinrin04.jpg

TMsinrin05.jpg

余計な話ですが途中で、ペンダントロガーに雨水が溜まっているのを結構みました。
湿度センサーが付いているタイプだと水が溜まるみたいですね。
結露もあるのかもしれませんけど、簡単な対処法は菅原先生みたいに手作業で傘作ってあげたらいいのではないでしょうか。唐笠地蔵みたいなのを
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%94%90%E5%82%98%E5%B0%8F%E5%83%A7


慌しくも楽しいショートトリップでした。
昨今ニュースで、遺伝子組み換えだ、植物工場だと話題に事欠きません。
日本の国土の70%近くは森林だそうです。今回来てみて日本人は恵まれた環境に生きているんだなあと改めて思いました。IKEAとかニトリで安いって喜んで外材の家具買ってる場合ちゃうと思いますよ!
森林が荒廃したら地滑りとか土石流とか自然災害にどう備えるんですかね?

では最後にこれは何て植物でしょうか??
TMsinrin06.jpg
答えはギンリョウソウです。
葉緑体を持たない植物なんだそうです。
今度SPADで計測してみたいです。数値ZEROになるんですかね?
どなたか試されたことある方居たら教えてください。
国内には結構SPAD信者さん居てるんで、これでZEROやなかったらどうするんやろ??

日本環境計測輸入部門担当TM
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2009年06月17日

ランバージャックへの道 パート1

ランバージャックへの道 パート1

お久しぶりです。
東京支社で頑張っておりますTMです。
さて今回はお客様の研究のお手伝いで測定に行ってきました。
場所は福島県いわき市勿来!
http://maps.google.co.jp/maps?utm_source=ja-wh
内容は林内の温湿度、リター厚、リター上部、下部の温度、土壌水分の測定です。
私は放射温度計でリターの温度と水分計で土壌水分測定を担当してきました。
土壌水分センサーは弊社取り扱いのDelta-T社製SM200とHH2の組み合わせを選択しました。多点を移動しながら計測するのは、この組み合わせが最適と判断して準備しました。

TMsinrin01.jpg

TMsinrin02.jpg

屋外での活動は海では慣れておりますが、山は初めてなので装備の準備からして
大変でした。で、結局落ち着いたのが合羽と長靴にモスキートガードと軍手。
流石に熊除けの鈴は着けませんでした。


作業は7m、12m、15mのプロットがあり、杭で1m間隔にマスキングし、地道で人海戦術のみが有効な作業をスタートさせました。
当日は雨こそ降っておりませんでしたが、林内の湿度は高く通気性のない合羽を着た事に数分で後悔いたしました。サウナスーツより効果ありますよ!!
単調な作業が続く事と山に慣れていないのもあって、方位の感覚が狂い始めるので
声を掛け合いながら進捗させていきました。
初日は不慣れな事もあり予定の半分以下で終了。でもヘトヘトでした。

TMsinrin03.jpg

夜は勿来駅前の“みちのく”という居酒屋さんでお世話になりました。
早苗さんというママさんの料理も美味かったですよ!
同席した近くの温泉施設の社長さんにお酒奢ってもらいました。

屋外の作業では虫に悩まされるのが一番気になりました。
耳元でずっとブンブンいうてるのは苛々するし、集中力の妨げにもなります。
その回避の為にお借りしたモスキートガードが、逆に作業効率の妨げになるんです。
そこら中にひっかかるので、前に進むのに気を使うのが鬱陶しいんです。
海なら海パン一丁で平気で気楽なもんです。
虫は来ないですがクラゲに刺されたり、たまに魚がぶつかってきたりもします。

なので二日目は頭にタオル巻いて、顔に特製の虫除けスプレーかけて測定しました。
二日目という事もあり、チームプレーにも良いリズムが出てきて、計画を全て終わらすことができました。それでも8時間くらいはかかりました。
パートナーさん曰く素人さんと一緒なので楽な調査にしてくれたそうです“”


屋外では環境制御が出来ない事と、余りにも測定対象が広いので、何を真値とするかの判断基準が難しいです。
簡単な解決策はありえないので、とにかく多点でデータを集めるしかなさそうです。
また測定精度もかなりバラつきが出てしまいます。
根が張っている土壌では空隙が多く、数値が低く見積もられてしまいます。
また礫や腐葉土など不確定要素が入り込む余地が沢山あります。
測定ポイント1点に対し3点は挿入して測定をし、アベレージで求めるのが最良なのではと感じました。

1点目の測定ポイントが終了したので、翌日からのポイントへ移動します。
続きは次号で!!

最近流行の森林療法というのがありますけど、あれも滞在時間ですよね!
2〜3時間の山歩きなら気分爽快で帰れますけど、ずっと居たら逆に鬱になりそうです。山の中の静寂は想像以上に怖いですよ!

日本環境計測輸入部門担当TM
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2009年03月17日

CS616プローブって・・・

CS616プローブって・・・

このプローブ、土壌水分を計るんですけど、その出力の仕様が???です。

弊社のMIJ-12ロガーにこのプローブをなんとしても接続したいお客様がいらっしゃって、そこで気が付いたんですけど、出力がサイン波で出てます。

サイン波の周期が14〜40μSec程度まで土壌水分に応じて変化する仕様です。

こんな感じで、

CS61605.jpg
大気中の出力

CS61604.jpg
水中の出力


普通、センサーと呼ぶモノは電圧とか電流とか抵抗値とか、たまにシリアル出力とか、そういう出力を持っているわけですが、これは一般的なルールに該当しません。

そうか、だからセンサーって一言も書いてないわけですね。
Water Content Reflectometer
って書いてます。確かに。センサーじゃないって言いたいわけ??

どうしようもないので、これように作ったF/V変換器をMIJ-12の電源部に増設しました。
CS61601.jpg
MIJ-12の電源基板に2階建を増築て

CS61602.jpg

CS61603.jpg
良かった蓋も閉まった。

F/V変換というのは、周波数を電圧にコンバートするという意味です。CS616の出力が周期、つまりPeak to Peakの時間という単位ですから、これをそのまま1.400〜4.000VDCに変換してあげれば普通のロガーで読めます。

というわけで、MIJ-12は無事CS616の出力を読めるようになりました。

このプローブは消費電力が大きめなので、MIJ-12の電源基板からそのまま電力供給すると容量オーバーです。なので、電池から直接enable(オレンジ色)に接続したりと、組付けがとても面倒になってはいますけど。

周波数で出力するCS616のメリット、デメリットを考えました。
○ ケーブル長さの制約が少なくなり、300m程度OK。これは確かに良い。
○ 出力がTDR法の原理原則そのまんまなので、なんかうれしい。(と感じる人もいる)
○ そのまんまなので、基板に実装する部品点数が少なく、壊れにくそう。

デメリット
○ 電圧出力じゃないので、汎用ロガーと相性が悪い。
○ ロッドがやけに長くて、取り回しが。

作って気が付いたんですけど、その周期の単位は全然違うのですが、風速計の昔ながらのものってパルス出力と呼ばれている出力が出ますね。これも周波数です。風速計に1対1で汎用ロガーを接続する用途がメジャーかどうかは解りませんが、可能ではあります。

総評として、
CS616は仕様がとてもマニアックです。マニアの自覚がある方には出力が限りなく生データなので、面白みがありますけど、そうではない方はあえて、これを選定する理由がないです。1chロガーと接続する場合でもケーブル長さの自由度は意味が無くなります。独特の注意点として、白い樹脂部分を指で持っても出力に影響します。プローブを大気中に保持して基板のポテンショを調節する作業が入るんですけど、その際に気が付いてしまいました。白いところも全部土壌に埋めてしまうのが設置の勘所です。

あっ、キャンベルロガーをお持ちの方は平気です。なんの問題もないです。

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2009年02月25日

インクジェットのカスタム

インクジェットのカスタム

ここのところ不景気だってお話が方々から聞こえてきます。流行語なのか?と思ってしまうくらい。弊社の場合はというと、とっても好景気がない代わりにとっても不景気もない、とっても刺激のない経営状況なわけで、創業以来借り入れもないし、事務所家賃も不要、つぶれようがない経営です。

弊社の業務というのは、必要がないものは売ってないし、必要じゃない仕事もしないので、必要じゃないとお呼びがないから必要な仕事以外はしないという、流行とは縁のない業態です。労働エネルギーを最低限に消費するという意味ではエコロジーと言えるのではないかなあ。

開発なんかも最小限しか外部委託しないから、時間が有ればたいがいできてしまうわけですし。

話を戻して、不景気って言うと、次は節約(エネルギーではなく金銭の方)がテーマになるもんです。

ご存じのようにインクジェットはインクが意外と高額です。それだけならまだしも、インク交換の手間は、ヘビーユーザーにとって、めんどう以外の何でもないわけです。たまに何故かインクが漏れて来たりするしねえ。

レーザーは良い縁が無くて、何買ってもすぐ壊れるし。

今プリントしたいのに、勝手に止まったときのイライラというのは健康に悪い。そういう気分からもまこと切実に脱出したい。

弊社の技術を惜しげもなく投入して・・・・・というわけではなくて、仕事の気分が乗らない時ってあるもんですが、そういう時にインクジェットのカスタムを行いました。
inkjet.JPG
夢のフルカラー1万枚連続印刷可能なインクジェット、Tuned by EMJ


改造費は200円と2時間。カートリッジのダイアフラムにインク供給するノズルをチューブの先端に装備することが必要で、ボールの空気入れ用の針を100円ショップで買ってきました。外径が丁度いいので。チューブなんかはいっぱい持ってるし。安物の詰替用インクボトルをそのまま使ってます。

そう難しいカスタム(この単語、美しい響きです。)ではないのですが、費用対効果は絶大です。見た目はともかく。

Qアホか?

Aはい、認めます。

Q 1万枚なんて、誰もインクジェットに期待してないって

Aその通りです。

Q見せてくれ。

Aいつでもどうぞ。笑えます。

Q売ってくれ。

A売りません。こんなもの。自作してください。

ああ、またしょうもないモノを造ってしまった。

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2009年02月24日

グラニエ自作用アルミパイプ

グラニエ自作用アルミパイプ

世界のグラニエセンサー自作者(樹液流計測関係者)にとって、ショッキングな出来事が起こりました。外径3/16、内径0.014inchというサイズで、A3003を材料としたアルミパイプの供給が途絶えたのです。何処探したってありません。
altube.jpg
本当のところ、グラニエセンサーの存在は我々業者にとっては「自作がメイン」という理由で縁がない、つまり商売にはならないセンサーなのですが、それはそれでサップフローを計測する研究がテーマとして成り立つ限り、その計測は有意義と言い切れるわけです。で、その関係者とは弊社のお客様であったりするわけで、「そんなの知るか。」って気分にもなれないのです。

弊社の結論として、ビジネスとしての判断は明らかに間違っていますけど、大量製造する事にしました。一応弊社の場合、九大大学発ベンチャーって枠に入っちゃってまして、かつ、堂々の第一号創業(注釈:最初に造られたって意味。一番大きいって意味じゃない。)の会社という事になってます。そういう背景もあり、研究がこんなパイプ程度の事で滞ったり、絶滅したり、ってのは、どうにも我慢ならないと思ってしまうのです。

別に「大量」に造りたい訳じゃないんですけど、材質指定の上で、インチ規格のパイプを日本で製造するとなると、それは需要が全く無いモノを造るという事になり、何本とか何mとかそういう単位ではなく、「A3003でこれこれの規格で公差はこうで、それを30キロ分お願いね。」、というやりとりになってしまうわけです。そうしないと販売単価が馬鹿みたいな価格になってしまうのです。まさか、切削で造るなんて愚かな判断はエンジニアとしてはできないですし。

こういう訳で、2009年3月20日前後に、1.1m長さ、約6500本が弊社に入荷します。全国のグラニエファンの方々、生涯の間、安心頂いて大丈夫です。弊社はパイプ屋じゃないので、表向いて積極的な販売を行う事はありませんが、日本国内の需要をどう少なく見ても30年間以上は満たせる在庫が弊社にあります。

そして、全く苦にならない価格にしてます。

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2008年12月15日

白虹

白虹

光合成とは全く関係ない話ですが、2008年12月12日夜、福岡では白虹(ハッコウ)という現象が見られました。詳細はhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9A%88
DSC03537.JPG

最近のデジカメは、ボタンを押すだけで、自動露出してしまうので、何も考えずに、おおっ、という写真になってしまいます。

このときの空は、写真とまんま同じように見えてまして、迫力のある景色でした。

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2008年09月18日

光量子センサー煮込みました

光量子センサー煮込みました

MIJ1400.jpg

弊社製PARの初期ロット12個が完成しました。型式MIJ-14、品名Quantum Sensorです。初期ロットは販売予定がないので、シャア専用色になってます。

このセンサーの設計は、やり尽くした実感が強く得られるものでした。まず、既存のセンサの弱点をまとめると、防水、長期ドリフトの2点、次に波長感度特性、入射角特性、最後に出力が小さいということになります。

対策は、筐体からケーブル直出しは漏水の原因なので、これをコネクタで封印すること。

MIJ1404.jpg

長期ドリフトの要因は、光学フィルタの劣化と断定しました。熱、水、酸素が劣化要因なので、水と酸素を除去する薬剤を封入する。2つの要因を削除すれば熱があっても劣化は防げます。

波長感度特性は400nm未満、700nm以上の波長をカットすること。要するにUV/IRカットフィルタを内蔵するということです。

使用するフォトダイオードの波長感度特性はPARの定義に合わないので、これを合わせるために色ガラスで補正する。

忘れちゃいけないのが、外部に剥き出しの拡散板です。ここは普通は紫外線防止剤入りアクリルを使いますが、劣化の一要因です。弊社ではガラスを使用しました。

MIJ1403.jpg

ここまで対策したら、その成果はどうなのよと思うわけで、しかし、確認するには1年程度待つしかないのですが、そこを強引に短時間でやってしまえないかと考えました。

そこで、

MIJ1401.jpg

えいやっと、やかんで煮込みました。その後、氷水に投入し、また煮込むを繰り返し3回です。

MIJ1402.jpg

その心は、防水のテストができれば、湿度、酸素のシャットアウトは出来ていることが確認できて、そうすると、ドリフトの要因は削除されたと判断できるんではないかと考えたわけです。

沸騰させれば内部は100℃になり、内部気体は膨張します。シールが甘ければ気体は外部へ漏れます。次に氷水で0℃になると、今度は収縮しますがその際内部は負圧になって、外部の水を吸ってしまう事になります。

実際、PARセンサが置かれる環境は-40〜60℃程度でしょうからその差は100℃あるわけで、このテストとさほど変わらない温度差環境です。年上一定温度の海中より厳しいわけです。防水の面では。


分光感度特性です。
MIJ1405.jpg

結果、浸水や、出力の異常は確認できなかったので、来月にもデビューさせます。量産モデルは黒の予定です。

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2008年08月22日

続・・・光量子センサー

続・・・光量子センサー

以前(って半年も前になるなあ)に光量子センサや照度センサについて、ごにょごにょ書き込みしたんですが、その後、おまえが作れって声が急増してしまったという事態に陥ってます。

これは予想が付かなかった反応でしたが、結局のところ、とても素直にまとめると、こういうご要望とかクレームなわけです。

某光量子センサが業界のスタンダードである。知らないヤツはモグリって呼ばれるもんね。って英文論文にはみんなで書いてあるらしい。(読んでないけど。)

当初はその価格にふさわしい性能と、これを買ったら世界標準を使っているという安堵感とか満足感とか優越感とかいろんな気分が味わえる。

しかしながら、1年以上使ってデータを確認してみると、あまりにもドリフト、つまり、この場合正しくは経年劣化が大きいではないか。

それはつまり年に一回買い換えろと言うことか。なめてんじゃねーぞ。

と、矢印をたどるに連れて、怒り指数は血圧と共に上昇し、最後は、もはや自分でも止められない逆上激情の怒濤のごとく意味無し八つ当たり型の話し方になってしまうわけです。(注:ここでは、弊社が売ってなくて良かった。と別の意味でこちらは安堵するわけです。)

少し落ち着くと、今使っているPARセンサが何処何処のメーカーで、それはつまり、論文で読んだから買ったのにね、そんで、信頼して買ったのにね、でもね、それが・・・・・・虚構だったのよ。・・・・と、フェードアウトする話になっていきます。

ここで、終わりかと思いきや、振り向きざまに(実際は見えないけど)最後の矢印が出てきます。

国産で、高精度で、ドリフトしないで、でもって安いのを作ってね。待ってるよー。

あっ、そうそう、でもね、業界のスタンダード品との比較はやってね。

と、ここで全てのストレスから開放されて、でも「業界スタンダード」のこだわりは捨てきれず、晴れ晴れとして電話が切れるんですけども、こちらにその分のプレッシャーがかかってしまうと、そういう事態が福岡の片隅の電話口で、今日この頃現実に起こっているのです。

そういうわけで、近日公開になると思いますので、その予告です。
写真がこれ、
prepre.JPG

7月にとある人に出会ってしまったことがきっかけで少々開発が寄り道になってしまい、特殊仕様の写真になます。2つのセンサーの組になってますけど、PARの場合には一個で使えます。

これは特殊仕様ならではの光景
prepreleaf.jpg

こんな具合に、
PARinsonic.jpg

熱湯と冷水に交互に投入して、超音波洗浄器に投げ込む事を繰り返すという、IP規格でもやってないような、そういう防水テストも終わりました。

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2008年06月25日

3分照度センサー

3分照度センサー

またつまらぬ物を作ってしまいました。
NY01.JPG

6月16日、NY様からご連絡を頂き、今手元にある出所不明の浜フォトのフォトダイオードを使って、照度センサーを12個作りたい、しかし7月始めに観測サイトに設置に行くので間に合うかなあ・・・・。

通常の物作りではいろんな事を考えて設計するんですが、今回は制約が多いです。

ここで、ご要望と設計思想のバランスを考えてみます。

1 今あるセンサの選定基準が曖昧(何故かそこにあったというだけらしい)
2 拡散板の準備は間に合わない
3 拡散板を設ける場合、その透過スペクトルとPDの感度スペクトルを使って光学設計を行わねばならない
4 そこまで行くと、入射角特性(コサイン補正)の設計もやりたくなってしまう
5 そうするとハウジングはそれなりに複雑な形状になってしまう
6 自作しようとされている事から予算の制約はかなり厳しい。

つまり、バランスはとれないということが明白です。しかし、ここで終わっては何も進みませんから、こういう場合にはかなり思い切った事をすべしという天の声が聞こえます。

1 1年持てばいい。手持ちのセンサーにとっては出番があるだけ生き甲斐ってもんです。
2 弊社で組立しなければいい。これはお客様にやってもらいましょう。
3 部品代を抑える。そういう設計をすると、価格も安く、加工屋さんの納期も早くなります。小さくシンプルな形状でハウジングを作りましょう。
4 要するに肝要なのは防水と水平が出しやすければよい。

完成品が上の写真です。見本だけは弊社で組み立てました。

組み立てて気が付いたんですけど、これは少数ながらまねしたい人がいるかも知れないと思いました。と言いますのは、個葉に沢山のセンサーを設置したいという方もたまにいらっしゃるのです。なので、ここで3分照度センサーの作り方講座です。

準備する物
1 お好きなフォトダイオード
2 同軸ケーブルφ3程度のもの
4 塩ビ製のハウジング(お好みでアルミも可。でもアルマイトはかけた方がいいです。)
5 300Ω程度の抵抗(電圧出力が欲しい方だけ)
6 ニッパー
7 小型の万力もしくはボール盤
8 セメダイン社のスーパーXクリア
9 透明レジン
10 はんだこて15〜30Wとはんだ

まずハウジングにフォトダイオードをスーパーXで接着します。この接着はセンサ背面にあるピンの防水も兼ねますから、慎重にしかし大胆に行います。
NY02.JPG

接着剤が仮留めできるまでに10分程度かかりますから、その間万力やボール盤で軽く圧縮します。写真ではセンサー表面を破壊しないように綿棒を鋏んでます。
(この時点で3分以上経過してますけど、ただのタイトルと言うことで・・・。)
NY04.JPG

同軸ケーブルをサイドの穴から通します。そして先端のシースを
切って、銅線を剥き出しにします。
NY03.JPG


ハウジングの背面の結線を行います。同軸のセンターをフォトダイオードの+側にしましょう。シールド側を−にします。
NY05.JPG

ハウジングの背面の面から配線が飛び出さない位置ではんだ付けします。フォトダイオードは熱に弱いので、なるべく短時間で行いましょう。

フォトダイオードの余分なピンをニッパーで切ってしまいます。
NY06.JPG

そうすると穴の中に全ての配線が入ってしまう構造になりますね。ここでレジンを流し込みます。レジンはなるべく流動性の良い物が向いてます。

以上でほぼ完成です。

もし、電圧が欲しければ、センサー側ではなくて、データロガー側に抵抗を入れます。

ハウジングの穴の中にも入るんですけど、抵抗というのはそれ自体が温度特性を持っていますから、センサー側ではなく、なにかしらの箱に入るであろうロガー側に抵抗を付けるのが賢いです。

それでも温度(気温)変化で抵抗値が変わりますけど、全部同じ場所にあると、どの抵抗もだいたい同じ影響を受けるので、センサー側に付けるより遙かにマシです。

注意:このセンサーについては、急場しのぎというか、手抜きするしかなかった背景がありまして、その程度の「ブツ」ですから弊社ではとても販売はできません。

かなり良い「ブツ」を開発中なのでお待ちくださいね。

なお、このセンサーはNY Sensorと銘々してます。そう呼んでください。

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